『捨てがたき人々』
制作年・国 | 2012年 日本 |
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上映時間 | 2時間03分 |
原作 | ジョージ秋山 |
監督 | 製作・監督:榊 英雄 製作・脚本:秋山 命 |
出演 | 大森南朋、美輪ひとみ、美保 純、田口トモロヲ、滝藤賢一、内田滋 |
公開日、上映劇場 | 2014年6月14日(土)~テアトル新宿、テアトル梅田、京都シネマ、7月12日(土)~元町映画館 他全国順次公開 |
~多様な人間性があるからこそ愛おしくなる“捨てがたき人々”~
長崎県五島を舞台にした『捨てがたき人々』は、生きることを否定しながらも欲望むき出しに女にすがりつく男の生き様を通して、「何のために生まれ、何のために生きるのか」を、いまを生きる我々の心情に、根底から突き動かすような勢いで問い掛けてくる。ジョージ秋山の原作に共感した榊英雄監督が、ジョージ秋山の息子の秋山命と共に製作し、脚本は秋山命が担当。二人は同じ年の双子座生まれ。製作時期が丁度厄年にあたり、この作品に今までのオリや不祥をすべてぶつけて、これからの人生を新たにスタートさせるキッカケにしようと思ったらしい。そこには、榊監督自身の個人的なバックグランドが強く反映されているというから、本作への想いはより深くて強いものがある。
【STORY】
金も仕事も家族も希望もなく、「生きるのに飽きちゃった…」と、人生に行き詰まって故郷に戻ってきた勇介(大森南朋)。さびれた感のある静かな港町で、ひときわ目をひいた女がいた。それは弁当屋で働く京子(三輪ひとみ)だった。いつも黄色い自転車で走り回っている京子は、夏物のブラウスやスカートからのぞかせる腕やすらりとした足や胸元など、すべてが色白で美しい。だが、顔に大きなあざがあった。誰もがよそ者の勇介を警戒する中、明るく微笑みながら声を掛けてくれる京子。思わず抱きつきたくなる衝動に駆られる勇介だった。
人懐こく勇介の世話をするうちに、二人はなしくずしに体を重ねるようになる。そして、京子は身籠る。愛のない両親から生まれ、劣悪な環境で育った勇介は、京子の妊娠を喜ばなかった。あれほど自分の人生を否定していた勇介が男の子の父親になったのだ。勇介は京子が信奉する教団幹部経営の水産加工会社で働くようになるが、そこでは不倫や自殺騒ぎなどドロドロとした人間関係を目の当たりにする。
10年が経ち、一見平穏に暮していたかに思えたが、勇介は京子の叔母であるあかね(美保純)とも関係を続けており、京子は顔のあざを化粧で隠すようになり、新たな教団幹部と不倫関係にあった。息子は成績優秀で誰もが期待するような存在だったが、自堕落な父親を毛嫌いし反発していた。そんな息子との確執に苛立つ勇介。自らの生い立ちを辿るかのような現状に驚愕するのだった…。
人間の様々な欲望とは生きるための活力。何に執着するかは人それぞれだが、生きるのに飽きても、嫌になっても、生命力は誰しもが持っているもので、そう簡単には消せないのだ。「何のために生まれ、何のために生きるのか」、そんなこと分からなくても、生きてさえいればきっと「良かった!」と思える日は必ず来る。無為徒食に生きようが、じたばたしながら生きていこうが、人生は続く。どんな人生でも、幸せに感じられるかどうかは自分自身なのだから。
(河田 真喜子)
★榊英雄監督インタビューは⇒ こちら
★公式サイト⇒ http://eiga.com/jump/QDXiy/
(C)2012「捨てがたき人々」製作委員会