『ボクたちの交換日記』内村光良監督、伊藤淳史、小出恵介舞台挨拶レポートはコチラ
制作年・国 | 2013年 日本 |
---|---|
上映時間 | 1時間55分 |
原作 | 鈴木おさむ「芸人交換日記~イエローハーツの物語~」(太田出版刊) |
監督 | 脚本:内村光良 |
出演 | 伊藤淳史、小出恵介、長澤まさみ、木村文乃、川口春奈、佐藤二朗、佐々木蔵之介 |
公開日、上映劇場 | 2013年3月23日(土)~新宿ピカデリー、大阪ステーションシティシネマ、なんばパークスシネマ、MOVIX京都、T・ジョイ京都、神戸国際松竹、109シネマズHAT神戸、他全国ロードショー |
~“交換日記”から始まる夢と選択の瞬間~
「交換日記」という響きがなんとも懐かしい。友達と順番を決めて、日々綴りながらお互いの本音を打ち明ける。今から思えば、メールのない時代、親しい人と情報を共有し、お互いの想いを残していく貴重なツールだったのかもしれない。そして、ここにも本音を打ち明けられず、漫然と過ごしている二人がいた。鈴木おさむのベストセラー小説「芸人交換日記~イエローハーツの物語~」を〈ウッチャンナンチャン〉の内村光良監督が映画化、結成して12年の売れない芸人コンビ「房総スイマーズ」の、夢を追う姿や挫折し、それぞれの道を歩んだ末にたどりついた絆を、たっぷりの愛情を込めて描く。
恋人の妊娠を機に家庭を築こうとする甲本(小出恵介)とバイトをしながら一生懸命ネタを書き続ける田中(伊藤淳史)。高校の同級生の二人は「房総スイマーズ」を結成し、12年の時が流れたが、後輩芸人に追い抜かされ、なかなかチャンスをモノにできない。甲本が提案した交換日記を、最初は断固拒否した田中だったが、無理矢理書き続けるうちに、お互いの本音をさらけ出すようになり、ラストチャンスと決めたお笑い選手権に向けて猛特訓を重ねるのだった。
伊藤淳史と小出恵介が演じる「房総スイマーズ」がだんだん面白くなっていく姿は、内村監督の鬼の特訓の賜物だ。舞台挨拶でも、本当にお笑い芸人がライブをやっている場所に二人を飛び入り参加させ、全く「うけない」悲痛な体験をさせたことが明かされ、以降二人が目の色を変えてコントの特訓に励んだというエピソードが印象的だった。全力でお笑いに賭ける甲本と田中の姿は演技を超えた本気さがあった。一方、まるで交換日記のように、それぞれ一人で過ごす時が交互に映し出され、お互いに言えない苦悩や努力を静かに温かく描写。華やかに見える芸人の裏側にもやさしく光を当てているところに、監督の演出の妙を感じる。
単なるサクセスストーリーにはない人間臭さが胸に沁みる、漫才コンビの悲喜こもごもの中に、人生の選択を描いたヒューマンドラマ。「どんな選択をするにせよ、後悔しない生き方をしよう」と背中を押してもらった気がした。(江口由美)
公式サイト→http://koukan-nikki.jp/
(c)2013「ボクたちの交換日記」製作委員会