『最強のふたり』ティーチイン レポートはコチラ
| 原題 | Intouchables |
|---|---|
| 制作年・国 | ２０１１年 フランス |
| 上映時間 | １時間５３分 |
| 監督 | 監督・脚本：エリック・トレダノ＆オリヴィエ・ナカシュ |
| 出演 | フランソワ・クリュゼ，オマール・シー，アンヌ・ル・ニ，オドレイ・フルーロ，クロティルド・モレ |
| 公開日、上映劇場 | ２０１２年９月１日（土） TOHOシネマズシャンテ、TOHOシネマズ六本木ヒルズ、新宿武蔵野館、 TOHOシネマズ梅田、TOHOシネマズなんば、TOHOシネマズ二条、TOHOシネマズ西宮ＯＳ、他全国順次ロードショー |
| 受賞歴 | 第２４回東京国際映画際・グランプリ（東京サクラグランプリ）、・主演男優賞Ｗ受賞（フランソワ・クリュゼ、オマール・シー） セザール賞 全９部門ノミネート・主演男優賞受賞（オマール・シー） リュミエール賞 主演男優賞受賞（オマール・シー） |
～心の空洞を埋めてくれる本当の優しさとは？～
２人の男が最強の絆で結ばれた理由を描く実話に基づいた物語だ。フィリップは，自家用ジェットを持つ富豪だが，悪天候でパラグライダーを強行して首の付け根からつま先まで麻痺し，最愛の妻を病気で亡くしていた。ドリスは，８歳で叔母の養子となったが，強盗で半年服役したこともあり，今は職を探している。ドリスがフィリップのヘルパーの面接に訪れたことで，２人は知り合う。一見すると正反対の２人が磁石のように惹かれ合う。
冒頭，ドリスが助手席のフィリップに「任せてくれ」と言って車を走らせる。そして，そのシーンに至るまでの，孤独な２人が互いの存在を必要としていた姿が示される。夜の街を独り歩くドリスの姿を小さく映すシーンがある。カメラが上に移動して大勢の人々が住んでいるはずの建物群を俯瞰する。また，フィリップの誕生パーティでは，大勢の人々が集まって祝っているはずだが，遠巻きに傍観しているようなよそよそしさに満ちている。
大きな空洞を抱えたフィリップの心が徐々に満たされていく様子が手に取るように見えてくる。ドリスは，初めてフィリップを車に乗せるとき，馬みたいに荷台に乗せられないと言って助手席に座らせる。根の優しさを感じさせてくれるシーンだ。また，体調の悪くなったフィリップを早朝に車椅子に乗せて外へ連れ出す。垣根のない会話が続き，２人の距離がぐっと縮まっていく。同時に，観客も２人に対して親近感を抱かされることになる。
心地良く響いてくるユーモアがいい。辛らつな内容でも，手を動かせないフィリップに何気なく携帯電話を手渡そうとするドリスだと，全く嫌みがない。１枚の抽象画を前にした２人の会話は，それぞれの人柄を表していて忘れ難い。フィリップの文通相手に関する描写も，彼の屈折した心が真っ直ぐになる様子を照らし出していく。フィリップのもとで働くマガリーがドリスを相手に見事なフィニッシュを決めるのも清々しい。珠玉の一作だ。
（河田 充規）
公式サイト⇒http://saikyo-2.gaga.ne.jp/
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