
| 原題 | 原題:Crossing |
|---|---|
| 制作年・国 | 2024年 スウェーデン・デンマーク・フランス・トルコ・ジョージア/ジョージア語・トルコ語・英語 |
| 上映時間 | 1時間46分 |
| 監督 | 監督・脚本:レヴァン・アキン 撮影:リーサビ・フリーデル |
| 出演 | ムジア・アラブリ、ルーカス・カンカヴァ、デニズ・ドゥマンリ |
| 公開日、上映劇場 | 2026年1月9日(金)~Bunkamuraル・シネマ 渋谷宮下、アップリンク吉祥寺、テアトル梅田、アップリンク京都、シネ・リーブル神戸 ほか全国公開 |
~静かに交わる、それぞれの道~

「CROSSING 心の交差点」(レヴァン・アキン監督)という映画のタイトルを聞いて、まず思い出したのはファティ・アキン監督の音楽ドキュメンタリー「クロッシング・ザ・ブリッジ~サウンド・オブ・イスタンブール」(2005)だ。トルコのイスタンブールは多民族、多文化が交差する都市で、貧富の差や、伝統と革新が混在するところ、音楽もまた多様で個性的であることを、ドイツ人音楽家が現地を訪ねてインタビューだけでなく、セッションもする作品である。ファティ・アキン監督はトルコ系ドイツ人で、レヴァン・アキン監督はジョージアにルーツを持つスウェーデン人で、もちろん親戚関係ではない。しかし「CROSSING 心の交差点」にも音楽と歌がふんだんに使われ、共通点も感じた。
本作は、スウェーデン・デンマーク・フランス・トルコ・ジョージアの合作で、使用言語はジョージア語、トルコ語、英語である。素晴らしいのは日本語字幕の付け方で、ジョージア語は無印、トルコ語は鍵括弧〈 〉でくくり、英語は二重鍵括弧《 》を使うと言う風に分けているところである。つまりジョージア語母語の主人公がいて、旅先で使われる言語がトルコ語と英語なのである。前置きはこのくらいで。
ジョージアに暮らす中年の元教師リア(ムジア・アラブリ)は、姉の死後、とうに家出して行方不明の姪テクラを探す旅に出る。テクラはトランスジェンダーで、おそらくイスタンブールにいるらしい。テクラの居所を知っているという青年アチ(ルーカス・カンカヴァ)が同行を申し出る。アチは父が再婚した家から出たがっていた。
船上でギターを弾き歌う少年とその妹らしきふたりが船を降りてからもつきまとう。住所を聞いて知っているという少年。怪しむアチと違って、リアはふたりに先導させる。着いたところは娼婦たちがたむろする売春街のアパート。しかしそこにもテクラはいなかった。 映画は、このふたりの旅と並行して、トランスジェエンダーの弁護士エヴリム(デニズ・ドゥマンリ)が、性別変更のための書類を作成しサインをもらうために病院に行ったりする様子を描いていく。彼女はトランスジェンダーの権利を守るためにNGOで働いているのである。 そしてリアとアチ、エヴリムが出会うことで新たな展開となる…。
最初は、アチを信用していなかったリアが次第に彼にこころを開いていく。食堂で会った同郷のジョージア人男性に食事をおごってもらい、その気になったリアが化粧室で口紅を塗り直して出てくると男は逃げていたというエピソードが面白い。がっかりのリアをアチが慰めるのだ。でもうんと年下のアチとリアがそんな関係になることはない。
心の交差点というサブタイトルはそんな二人をうまく言い当てていると思う。それだけではなくエヴリムをはじめとしたトランス女性たち、また少年少女との交流も含め、さまざまな背景を背負った人々が交差する町イスタンブールの魅力も表している。余談ながら猫にやさしい町ということでも知られている。
(夏目 こしゅか)
公式サイト:https://mimosafilms.com/crossing/
配給:ミモザフィルムズ
© 2023 French Quarter Film AB, Adomeit Film ApS, Easy Riders Films, RMV Film AB, Sveriges Television AB
後援:スウェーデン大使館、デンマーク大使館


