制作年・国 | 2024年 日本 |
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上映時間 | 2時間7分 |
原作 | 福徳秀介(『今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は』小学館刊) |
監督 | 監督・脚本:大九明子(『私をくいとめて』『ウェディング・ハイ』『甘いお酒でうがい』『勝手にふるえてろ』)、撮影:中村夏葉 |
出演 | 萩原利久、河合優実、伊藤蒼、黒崎煌大、安斎肇、浅香航大、松本穂香、古田新太 |
公開日、上映劇場 | 2024年4月25日(金)~テアトル新宿、テアトル梅田、TOHOシネマズなんば、MOVIX京都、シネ・リーブル神戸、TOHOシネマズ西宮OS ほか全国ロードショー |
~これは紛れもなく青春映画の傑作に違いない~
亡き父や祖母の思いを受け継いで「今日の空が一番好き」と思える日が来るまでの軌跡を、微妙に普通とは違う雰囲気をまとった2人がすれ違う幕開きから、あの幕切れまで、幻想、妄想、回想を織り込みながら目に見える形にして、なかなか意のままにならない人生を紡いでいったその先に、どのような景色が待っているのか、ぜひとも見届けなければならない。
舞台の第1幕のような前半は、小西(萩原利久)の通う大学のキャンパスとバイト先の銭湯でのそれぞれの日常が絶妙なタッチで描かれる中で、桜田(河合優実)やさっちゃん(伊藤蒼)との距離感、関係性の違いが浮かび上がってくるのだが,何よりも、さっちゃんが心情を吐露する長台詞と、彼女がフレームから去っていく姿に、観客は耳と目を奪われ、小西は金縛りにあったように立ちすくむことになる。
そして後半の第2幕は、目の前から桜田が忽然と姿を消してしまったことで、悶々とした日々を過ごす小西の様子を映しながら、容赦なく時間が流れる中で、徐々に小西を取り巻く状況が明らかになっていくのだが、この事態は一体どのように収拾されていくのか、小西と桜田やさっちゃんとの関係はどのように着地するのか、その展開から目を離せなくなってしまう。
実在の大学キャンパスや銭湯などでロケをしていることから映し出される空気感が、リアリティを生み出している面も確かにあると思うが、それをうまく取り込んだ上で、巧みな構成の脚本があり、それを体現した俳優がいて、さらにそれを立体的に組み上げた監督の力量があってこそ、心情の起伏をまるで季節の移り変わりのように実在感をもって映像化できた作品だった。
(河田 充規)
公式サイト:https://kyosora-movie.jp/
配給:日活
© 2025「今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は」製作委員会