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『野生の島のロズ』

 
       

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作品データ
原題 The Wild Robot 
制作年・国 2024年 アメリカ 
上映時間 1時間42分
原作 原作・絵:ピーター・ブラウン(「The Wild Robot」福音館書店刊)
監督 監督・脚本:クリス・サンダース 音楽:クリス・バワーズ
出演 声の出演:〈ロズ〉:ルピタ・ニョンゴ(綾瀬はるか)、〈チャッカリ〉:ペドロ・パスカル(柄本佑)、〈キラリ〉:キット・コナー(鈴木福)、〈ピンクシッポ〉:キャサリン・オハラ(いとうまいこ)、〈クビナガ〉:ビル・ナイ(千葉繁)、〈ヴォントラ〉:ステファニー・シュウ(種先敦美)ほか
公開日、上映劇場 2025年2月7日(金)~全国ロードショー

 

大人も子供も大満足の傑作感動アニメ!

無人島に漂着したロボットと野生の動物たちの奇跡の冒険物語

 

最近、親子でアニメ映画を観に行っても、幼稚過ぎて大人には退屈だったり、逆に理解困難で子供が退屈したりと中々満足できる作品に出会えないことが多い。そこで現在公開中の『野生の島のロズ』をおススメしたい。野生の動物たちやプログラムを超えて進化するロボットを変に擬人化することなく、自然体の可愛らしさや美しくダイナミックな映像で最後までワクワクドキドキさせてくれる。さらには、無機質なはずのロボットが動物たちの本能に刺激され“母性”を芽生えさせるあたりは、ロボットと人間が共生する未来像を示しているようで、胸を熱くすると共にとても感慨深い。未来を担う子供たちにこそ、思い出に残るようなこんな映画を見せてほしい。


ROZ-500-1.jpg人間のために働くようプログラミングされていた〈最新型アシスト・ロボット〉通称“ロズ”が、貨物船が嵐で遭難して無人島に漂着する。かろうじてシステムが稼働して、ロズは誰かの指令に応えようと島中を探し回るが、島には野生の動物しかいない。散々な目に遭いながらも何とかコミュニケーションをとろうと、動物たちの言語を解明したりお手伝いをしたりして奮闘する。そんな中、孵化した雁のヒナと遭遇。孵化して最初に見たロズを母親だと思い込んだヒナはキラリと名付けられ、育てることになる。


ROZ-500-2.jpgヒナを狙っていたズル賢いキツネのチャッカリや、子だくさんのオポッサムの母親ピンクシッポの協力を得ながら、キラリが他の仲間と一緒に渡りができるようになるまで育てることを使命とする。このキラリがこの上なく可愛らしいのだ! 繊細な毛並みの美しさは勿論だが、ロズに甘える仕草は見ていてため息が出る。こんな風に懐かれたら誰でもメロメロになるだろう。だがロズはロボット。キラリの成長と共にプログラムを超えてロズ自身も進化を遂げていく。他の鳥たちより体が小さいキラリを案じながらも優しく見守るロズ。


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物語はキラリの成長だけでは終わらない。ロズを製造した会社がロズの回収のため次世代高性能ロボットを島に送り込んでくる。平穏な島が轟音とともに破壊され、ロズと野生の島の行く末はいったいどうなるのだろうか……。


ROZ-500-8.jpg本作の大きな特徴は、CGアニメ全盛にあって敢えて背景画を手描きにしていることだろう。クリス・サンダース監督は、「大自然に迷い込んでしまうハイテクロボットの物語なので、自然の表現は可能な限り有機的なものにする必要があった」。さらに「『バンビ』のようなディズニー古典の動物描写から、宮崎駿監督の『となりのトトロ』の独特な雰囲気の森、モネの絵画にいたるまで、様々なものからインスピレーションを得た」と語っている。


ROZ-500-6.jpg言葉では表現しにくい感情の変化や温もりを伝統的な手法で表現し、さらには最先端の技術と融合させることによって、エキサイティングな展開の中にも深い想いを印象付けている。想像を超えて観る人の胸を熱くする傑作アニメ、是非素直な気持ちで『野生の島のロズ』の世界に飛び込んでほしい。

 

(河田 真喜子)

公式サイト:https://gaga.ne.jp/roz-movie/

配給:東宝東和、ギャガ
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