原題 | ETTER MAN |
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制作年・国 | 2024年 アメリカ |
上映時間 | 2時間16分 |
監督 | マイケル・グレイシー(『グレイテスト・ショーマン』) |
出演 | ロビー・ウィリアムス、ジョノ・デイヴィス、デイモン・ヘリマン、スティーブ・ぺンバートン、アリソン・ステッドマンほか |
公開日、上映劇場 | 2025年3月28日(金)~大阪ステーションシティシネマ、TOHOシネマズ梅田、TOHOシネマズなんば、なんばパークスシネマ、あべのアポロシネマ、イオンシネマシアタス心斎橋、T・ジョイ京都、TOHOシネマズ二条、MOVIX京都、イオンシネマ京都桂川、109シネマズHAT神戸、OSシネマズ神戸ハーバーランド、OSシネマズミント神戸ほか全国ロードショー 公式サイト: |
大胆で奇抜な演出に目を奪われながら、
エンターテイメントの醍醐味をたっぷり味わう
この映画を観るにあたっては、少々予備知識があったほうが良いだろう。何も知らずに、ぶらっと入った映画館でこれを観たら、「へえ、チンパンジーが人間に混じって歌って踊ってる。でもなんで?」という疑問符が頭の中を駆け巡ったままエンディングを迎えてしまうかもしれない。本作はロビー・ウィリアムスというイギリスのポップスターの半生を描いたものだが、監督マイケル・グレイシーは実に破天荒な演出を思いついた。ロビーをチンパンジーの容姿で描くこと。それは、ロビー本人が「自分はパフォーミング・モンキーのようなものだ」と語ったことから発展したものだという。何の説明もなく、周囲の登場人間に何の違和感も与えずに、そのチンパンジーは冒頭から登場してくる。最初はとまどう私たちとチンパンジーとの距離はお話が進むにつれどんどん縮まり、最後は伝説的スターの化身として感動の波を送ってくる。いやはや、凄いミュージカル映画が誕生したものだ。
ロビーの父親ピーター(スティーブ・ぺンバートン)はスターに憧れ、歌うことが大好き。そんな父親に触発され、ロビーも小さい頃からスターになることを夢見ていたが、いじめを受けたり、自信をなくしたり。そんな彼を大きな愛で包み込んでくれるのが祖母のベティー(アリソン・ステッドマン)だった。やがてロビーはボーイズグループ「テイク・ザット」の一員となり、名声と成功をかちとるのだったが…。
見どころは満載だ。ロンドンの目抜き通り、リージェント・ストリートを封鎖し、500人のダンサーと共にロビーのヒット曲「Rock DJ」を歌いながら踊るシーンは凄い!自在に動くカメラワークの秀逸さとダンサーたちの躍動感に目が釘付けになる。3晩で37万人を動員したというコンサートの迫力やロマンティックな船上のダンスシーンも見逃せない。マイケル・グレイシー監督は、自身の映画『グレイテスト・ショーマン』で培った経験をさらにヒートアップさせてこの新作に注ぎ込んだようだ。
ミュージカルとしての面白さはもちろんだが、人間ドラマとしての緻密さにも心を持っていかれる。自分に自信が持てなかったロビーが、望みどおりに成功と名声を得てからは鼻持ちならない傲慢さを漂わせる。それでいてプレッシャーを抱え、そのはけ口をダークな領域に求めてしまう。そういう人間的な弱さを映画はきちんと描いていて、非凡でありながらも俗悪な面を持つロビー・ウィリアムスというひとりの人間を受け入れたくなってしまうのだ。
ロビーに多大な影響を与えながらも確執のあった父親とともに、超有名曲を歌うラストシーンは見ものだ。ストレート過ぎて私はこの曲を聞くとだいたいは引いてしまうのだけれど、ついほろりとしてしまった。映画力の為せる技かもしれない。
ちなみに主演のチンパンジーは、CGIのチンパンジーに、モーションキャプチャーを使ったジョノ・デイヴィスの演技を合体させて作られた。進化した映画技術と作り手の情熱がみごとに結ばれた、いま観るべき作品の一つだ。
(宮田 彩未)
公式サイト:https://betterman-movie.jp/
配給:東和ピクチャーズ
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