原題 | 維和防暴隊 |
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制作年・国 | 2024年 中国 |
上映時間 | 1時間41分 |
監督 | 監督:リー・タッチウ 製作総指揮:アンドリュー・ラウ |
出演 | ホアン・ジンユー、ワン・イーボー、チョン・チューシー、オウ・ハオ |
公開日、上映劇場 | 2025年1月10日(金)~TOHOシネマズ 日比谷、ほか全国のTOHOシネマズ系と他にても全国公開 |
平和を守る国連警察部隊を描く、
香港映画の香り漂う熱いドラマ!
『インファナル・アフェア』シリーズの製作陣が集結した超アクション大作がやってきた!制作総指揮にアンドリュー・ラウ。監督は同シリーズ『無間序曲』や『マトリックス』などでアクション監督を務めたリー・タッチウ。主演は『無名』であのトニー・レオンと共演し、『ボーン トゥ フライ』『熱烈!』で日本にその存在を印象付けたワン・イーボー。『オペレーション:レッドシー』で主演ビューを果たしたホアン・ジンユーとのW主演だ。この製作陣・キャストの顔ぶれを聞くだけで興奮が止まらない!
冒頭、内戦によって荒らされた村の惨状が映し出される。細かく作り込まれたセットは200日もの期間をかけて建設され、ドキュメンタリーフィルムを元に再現した映像はリアルで本物のニュース映像さながらだ。
ここサンタリオン(架空の地)では民族紛争が激化し、民間人同士が武器を向け合う無法地帯と化していた。事態は容易に収拾がつきそうになく、国連から派遣されたのが中国FPU部隊だ。着任早々、パトロールを命じられた第一分隊は武装グループから銃を向けられる。どちらかが発砲すれば即、銃撃戦になるという一触即発の事態だ。その裏には武器や麻薬を持ち込んだ疑惑の人物がいた。逮捕はされたものの、息のかかった者たちが証拠のもみ消しに暗躍していた。
そんななかチームワークを重視する分隊長ユー・ウェイトン(ホアン・ジンユー)と人命救助のためなら危険も顧みず突っ走るヤン・ジェン(ワン・イーボー)の熱いバトルが繰り広げられる。
本作はこのストレートな熱さが最大の魅力。そして、アクションシーンの迫力がさらにドラマを盛り上げる。とくに街なかでの追跡劇、倉庫街での銃撃戦の迫力はキレの良さが光る。広場での乱闘シーンは火炎瓶や催涙弾を使った危険の連続だが、すべて実際に行われたそうで、手に汗握るアクションに注目してほしい。また、ここぞという場面でスローモーションが使われているのも印象的だ。インド映画でも見かけるが、当たる直前に銃弾が止まる、当たった瞬間に血が吹き出すという演出。それが物語のテンションを損なうことなく、スポットライトを当てるような効果を果たしている。ここが見せ場だと観客に知らせた上で破壊力を示すのだ。
一方、ドラマシーンではしっとりと観る者の情感に訴えかける。こういうところはやはり中国映画という感じ。紅一点、通訳のディンを演じた『芳華-YOUTH-』のチョン・チューシーが、分隊と民間人とをつなぐ役割で物語に厚みを与えた。また、ヒーローだけが活躍する物語ではなく、あくまでチームとしての役割を果たすことに重きを置いた展開となっている点、人間の善性を信じる描き方に好感が持てる。
ところで、FPUとはFormed Police Unit=国連国際平和維持警察部隊のこと。国連警察の3つの柱(組織警察隊・個人警察官・特殊警察チーム)のうちの1つ目の任務で警察機構のなかでのPKO(国際平和協力本部)活動を担う実在の組織。本作ではメインのドラマだけでなく、学習支援などの様子にもふれており、活動の一端を知ることができる。
エンドロールで流れるメイキング映像が古き佳き香港映画を彷彿させ、ファンの目を楽しませてくれるのも嬉しい。フレッシュな二大スターの競演と中国・香港映画の魅力がぎっしり詰まった1本。
(山口 順子)
公式サイト:www.hark3.com/FPU
配給:ハーク
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