制作年・国 | 2024年 日本 |
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上映時間 | 1時間45分 |
原作 | 中條てい(「アイミタガイ」幻冬舎文庫) |
監督 | 監督:草野翔吾(『世界でいちばん長い写真』『彼女が好きなものは』、2025年2月7日公開予定『大きな玉ねぎの下で』) 脚本:市井昌秀、佐々部清、草野翔吾 撮影:小松高志 |
出演 | 黒木華、中村蒼、藤間爽子、安藤玉恵、近藤華、白鳥玉季、吉岡睦雄、松本利夫、升毅、西田尚美、田口トモロヲ、風吹ジュン、草笛光子ほか |
公開日、上映劇場 | 2024年11月1日(金)~TOHOシネマズ梅田、TOHOシネマズなんば、あべのアポロシネマ、TOHOシネマズ二条、T・ジョイ京都、イオンシネマ京都桂川、109シネマズHAT神戸、OSシネマズミント神戸ほか全国ロードショー |
~大切なひとの生きた証が、新たな人のつながりを育む感動ストーリー~
心のすべてを打ち明けられて、それをそのままきちんと理解してくれる友があるなら、人生はなんと心強く、素敵なものだろう。でも、日常的に享受している間は、それがどんなにすごいことなのか、本当にはわかっていない。刻々と時は過ぎ、大切なものがある日突然、完全に奪い取られるまでは。
ウェディングプランナーの梓(黒木華)は、中学生の頃に友だちになり、今では大親友の叶海(藤間爽子)に会うと、いつも元気をもらえる。叶海はポジティヴで明るく、カメラマンとして精力的に活動していた。その日も、会って、話をして、笑顔で別れた。それが、最後になるとも知らず…。撮影でパブアニューギニアへ向かった叶海は事故で帰らぬ人となったのだ。叶海の父・優作(田口トモロヲ)と母の朋子(西田尚美)は四十九日が済んでも、まだ娘の死を受け入れ難く、スマホの解約もできずにいた。ところが、朋子は叶海のスマホに次々に届くメールに気づく。まるで叶海の死を知らないかのようなメール、その送り主は梓だった。
アイミタガイとは、最近ではあんまり使われなくなった“相身互い”のこと。同じような境遇にあるのでお互いにその立場がわかること、そして、同情して助け合うことを指す。本作は、そこから発展させて、誰かを想ってしたことが巡りめぐって見知らぬ誰かを救い、やがて自分にも返ってくるという意味を持たせている。だから、梓と叶海に関わるいろいろな人のドラマが登場し、それらが絡まりあって距離を縮めてくる。
梓とつきあいながら、梓の気持ちを考えすぎて前に進めない心優しき青年・澄人(中村蒼)や、過去の哀しい出来事のせいで人前でピアノが弾けなくなった老婦人のこみち(草笛光子)、叶海の撮った写真を大切に飾っている児童養護施設の所長(松本利夫)など、いくつもの人生模様がていねいに描かれ、最後はそうあってほしいと思う場所に着地する。そして、観る者は温かいものがゆるやかに胸の内を通り抜けていくのを感じ、映画を観る前より少しばかり幸せな気持ちになる。梓がやっと本当の笑顔を取り戻すのを見つめながら。
なんといっても、黒木華に心を持っていかれる。絶妙な引き算の演技といっていい。派手な感情表現ではなく、胸中に秘めた想いの重さで魅了する。さらに、エンドロールで流れる昔のヒット曲「夜明けのマイウェイ」を黒木華が歌っている。透明感のある優しい声で、人と人はつながっているんだなあというこの映画の余韻とともに耳を傾けた。
(宮田 彩未)
公式サイト:https://aimitagai.jp/
配給:ギャガ
© 2024「アイミタガイ」製作委員会