制作年・国 | 2024年 日本 |
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上映時間 | 1時間49分 |
原作 | 東野圭吾「ある閉ざされた雪の山荘で」(講談社文庫) |
監督 | 監督・脚本:飯塚健(『虹色デイズ』『ヒノマルソウル 舞台裏の英雄たち』) 共同脚本:加藤良太 撮影:山崎裕典、初野一英 音楽:海田庄吾 主題歌:「FICTION」(WEST.) |
出演 | 重岡大毅、間宮祥太朗、中条あやみ、岡山天音、西野七瀬、堀田真由、戸塚純貴、森川葵 |
公開日、上映劇場 | 2024年1月12日(金)~TOHOシネマズ日比谷、TOHOシネマズ梅田、TOHOシネマズなんば、イオンシネマシアタス心斎橋、あべのアポロシネマ、TOHOシネマズ二条、T・ジョイ京都、109シネマズHAT神戸、OSシネマズ神戸ハーバーランド、OSシネマズミント神戸ほか全国ロードショー |
密室的空間を舞台にした、緻密に構築された重層ミステリー
7人の若者が荷物を携えて、山荘に到着する。彼らは劇団に所属する役者だ。次の舞台の主演を決める最終オーディションのために、ここに集められた。 “大雪に閉じ込められた山荘”という設定で、4日間の合宿の間に“殺人事件の真相”を解明するというミッションが劇団主宰者から与えられる。自己主張や腹の探り合い、疑心暗鬼などが入り乱れるなか、一人、また一人と消えてゆく…。
スタイリッシュで設備が整った美しい山荘が、だんだんと気味の悪い場所に見えてくる。殺人事件が起こり、殺されたはずの人の姿が無い。最初に、アガサ・クリスティの『そして誰もいなくなった』の本が全員に配られたこと、分割された画面で複数の人間の表情をとらえる映像や、天井から見た見取り図の中で各人が動き回る映像も意味深だ。山荘で進行する“舞台”をどこかでじっと見ているかのような、劇団主宰者の声が彼らを翻弄する。これは事実なのか、フィクションなのか、自分たちはただ起きたことに振り回されているのか、何かを演じているのか。彼らの焦りや心配が観ている者にも伝わってくる一方で、誰もが怪しく見えてくる。だって、彼ら全員が、演技を仕事とする役者なのだから。これがこの映画のツボだ。
原作は、人気作家・東野圭吾が1992年に発表した同名小説。東野さんご本人も「映画化の難しい作品」と考えていたというが、種明かしから意外なエンディングまで、飯塚健監督は卓越した手腕を発揮して映像化した。スリルに満ちたサスペンスと感動的な再生ドラマをみごとにつなぎ合わされている。小劇場と呼ばれるジャンルの(と思うが)劇団員たちが、それぞれに抱える喜怒哀楽、演劇と自らの人生との間で抱える葛藤なども鮮やかに映し込んだ。
犯人がわかった上で、どんな仕掛けや伏線が張られていたのか、一つひとつ確かめながら、もういっぺん観たくなる。よくできたミステリー映画は観客にそう思わせるが、本作もそのひとつだ。
(宮田 彩未)
公式サイト: https://happinet-phantom.com/tozayuki/
X/Instagram/TikTok @tozayuki_movie
製作幹事・配給: ハピネットファントム・スタジオ
制作プロダクション ファインエンターテイメント
©2024映画『ある閉ざされた雪の山荘で』製作委員会 ©東野圭吾/講談社