原題 | 原題:스위치 |
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制作年・国 | 2023年 韓国 |
上映時間 | 1時間52分 |
監督 | マ・デユン 『さまよう刃』(14)(脚色) |
出演 | クォン・サンウ、オ・ジョンセ、イ・ミンジョン ほか |
公開日、上映劇場 | 2023年12月1日(金)~シネマート新宿・心斎橋他 全国順次ロードショー! |
~クリスマスシーズンにぴったり!大人のお伽噺~
あまり夢を見ない。正確には見ているのだろうが覚えていない。タイトルから世界的トレンドのマルチバースかアニメで人気の転生ものか? 色々想像したのだが感想は、こんな夢なら見てみたい!
パク・ガン(クォン・サンウ)とチョ・ユン(オ・ジョンセ)は学生時代からの演劇仲間。今はスターとマネージャーの関係なのだが、クリスマスの魔法によって二人の人生が入れ替わったとしたら・・・? 実際にクォン・サンウ、オ・ジョンセ両名が受賞した百想芸術大賞の授賞式を思わせるシーンや劇中劇である時代劇の撮影風景、バラエティ番組内の再現ドラマからハリウッドスターの名言までパロディも満載で、よくある設定を逆手に取ってこれでもかと遊び倒す。韓国ドラマファンは必見の一本。
オ・ジョンセは演技の幅が広いカメレオン俳優で近年国内での受賞が続いているが、失礼ながらクォン・サンウには二枚目俳優という印象しかなかった。ところがどっこい、入れ替わった後の惨めっぽい感じが堂に入っている。それまでのスター役との落差を感じさせながら、子役との関係性が徐々に変わっていく様子も流れるような自然さなのだ。そして、その子役というのが私のもう一つのお薦めポイント。ドラマ「賢い医師生活」のキム・ジュンと昨年公開された『ただ悪より救いたまえ』のパク・ソイである。子どもはすぐ大きくなってしまうものだが、記憶の中の二人とそう変わらない姿が見られて嬉しかった。とくに「賢い医師生活」ファンには嬉しい再会となることうけあい。
その昔「世にも奇妙な物語」のスピンオフで「if」というドラマがあった。運命の分かれ道、あの時あっちの道を選んでいたら!?というストーリーだ。そこまでおおごとでなくても人生は細かな選択の連続。“あの時ああしていれば・・・”は誰もがふと考えてしまう”あるある”だろう。それもこれも失敗したくない、つねに賢い選択をしたいという潜在意識によるものなのか。あるいは失敗してもいいからこっちを選ぶ!という強い思いがあれば・・・いや、それでもつい考えてしまうのが人間なのかもしれない。より良い未来のために、といっても昔願った未来は現在なのである。人は未来だけをみつめても現在だけをみつめても生きてはいけないものらしい。
観ている間はテンポよく進むストーリーにただただ身を任せているが、もし、自分の人生にチューニングしてみて思い当たることがあるのなら、行動してみるのもアリと思わせてくれる。戻ることは無理だけど恥をかいても自己嫌悪にのたうち回っても、行動を起こしたこと、それ自体に価値があるはず。オ・ジョンセがメイキングで”考えさせられる作品”と言っていてコメディだしファンタジーなのでは? と意外に思ったのだが、たしかに、もはや作品の設定を超えて色々考えてしまっていた。
クリスマスにぴったりの美しい風景に韓国の街並みってこんなに煌びやかなんだ!と今さらながらに驚く。そしてパク・ガンとタクシー運転手の会話が、見えていた作品世界に広がりを与えストーリー全体をやさしく包み込む。そんな大人のお伽噺にしばし浸ってみては?
(山口 順子)
公式サイト: sangwoo-movie.com
Twitter: @movietwin2
提供:ツイン、Hulu
配給:ツイン
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