原題 | MON CHAT ET MOI, LA GRANDE AVENTURE DE RROU |
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制作年・国 | 2023年 フランス・スイス |
上映時間 | 1時間23分 |
原作 | 原案:モーリス・ジュヌヴォワの小説『Rroû』 |
監督 | ギヨーム・メダチェフスキ |
出演 | キャプシーヌ・サンソン=ファブレス、コリンヌ・マシエロ(『ママはレスリング・クイーン』『君と歩く世界』)、ニコラ・ウンブデンシュトック、リュシー・ローラン他 |
公開日、上映劇場 | 2023年9月29日(金)~大阪ステーションシティシネマ、なんばパークスシネマ、MOVIX京都、kino cinema神戸国際 ほか全国ロードショー |
猫好き、必見!
動物たちの“可愛い&切ない”を映像に焼き付けたプロの仕事に脱帽!
猫好きです。この地球に生存する動物の中で最も好きなのが猫です。人に媚びず、気ままに生きてる、そういう孤高の姿を見せてくれる、だからイイのです。二十歳まで生きた愛猫ふたりを見送りましたが、残念ながら、今は動物を飼えない生活環境なのできっぱり諦めました。それなのに、この映画です。あか~ん、猫を飼いたくなる欲望にまた火をつけられました。冒頭から猫のルーに目が釘付け!その表情、尻尾をおったててちょこまか走るその姿。胸がきゅっきゅきゅっきゅ鳴りどおしでした。
パリのアパルトマンに両親と暮らす10歳の少女クレム(キャプシーヌ・サンソン=ファブレス)は、屋根裏で母猫とはぐれたらしい小さなキジトラの猫を見つけました。みゃあみゃあと鳴き、尻尾が長く、つぶらな瞳が愛らしい。この猫に夢中になったクレムは、両親に飼いたいとせがみます。最近口論ばかりしている父と母から何とか許可をもらい、ルーという名前をつけましたが、このルーちゃんはとんでもなく好奇心旺盛で、怖いもの知らず。ある日、ルーを連れて田舎の別荘に行きますが、そこで予想もしなかった事件が…。
別荘の近くに個性的な芸術家マドレーヌ(コリンヌ・マシエロ)が住んでいて、一見とっつきにくく不愛想でクレムは最初彼女のことをひそかに“魔女”と呼ぶのですが、この女性がとってもカッコイイ。そのマドレーヌが飼っているのが、なんとも愛嬌たっぷりな顔つきのランボーという名の犬(たぶん、犬種はナポリタン・マスティフ)。猫のルーはもちろんのこと、このランボーや森の他の動物たちもすべて表情が豊かなのに驚きました。動物を擬人化した映画や人間目線の妙なナレーションをつけた映画には首をかしげたくなることが多いのですが、そんな小細工を全くしていないのに、それぞれの動物の感情(といえるもの)が観る者にすごく自然に伝わってきます。
その秘密は、フランスで動物トレーナーの第一人者といわれるミュリエル・ベックが動物の演出に携わっていること。なんと彼女はアリやハエの演出までしたことがあるというからびっくりです。監督ギヨーム・メダチェフスキも、動物映像を得意とする人だから、ほんまに最初から最後までまばたき厳禁といえるような、動物たちの素晴らしいショットが続出。ほんまに感心しました。
猫を撫でると、幸福感をもたらすエンドルフィンというホルモンが分泌されるらしいし、猫や犬を飼っている人が心筋梗塞などになっても、飼っていない人に比べて回復率は9倍になるという研究発表もあるそうです。「ああ、猫を抱きたい、ふわふわの毛を撫でたい」という思いにかられながら、甘酸っぱい結末に、どんな人生にもあるかもしれぬ“執着の断捨離”を心に刻んでいました。
(宮田 彩未)
公式サイト:https://gaga.ne.jp/parisnekorrou/
配給:ギャガ
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