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『リトル・マーメイド』

 
       

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作品データ
原題 The Little Mermaid 
制作年・国 2023年 アメリカ 
上映時間 2時間15分
監督 ロブ・マーシャル
出演 ハリー・ベイリー、メリッサ・マッカーシー、ダヴィード・ディグス、ジョナ・ハウアー=キング、オークワフィナ、ハビエル・バルデム他
公開日、上映劇場 2023年6月9日(金)~大阪ステーションシティシネマ、T・ジョイ梅田、TOHOシネマズ梅田、TOHOシネマズなんば、なんばパークスシネマ、イオンシネマシアタス心斎橋、あべのアポロシネマ、T・ジョイ京都、TOHOシネマズ二条、MOVIX京都、109シネマズHAT神戸、OSシネマズ神戸ハーバーランド、OSシネマズミント神戸ほか全国ロードショー

 

~世に賛否両論あれど、なかなかに満足したディズニーの実写版~

 

昔から語り継がれるおとぎ話というのは、美しく微笑ましく、素敵なハッピーエンドが用意されているのかといえば、とんでもない落とし穴があったり、悪運にまみれる展開があったり、あまりに残念な悲劇で幕をおろしたり…と、世界残酷昔話といえそうなのもけっこうある。日本の「竹取物語」もその一例。竹の中から見つけて大事に育ててくれた老夫婦を見捨て、数々の求婚者に解けないとわかっている無理難題を与え、だから地上での結婚などできませんよ~と、ふるさとの月に帰ってしまうかぐや姫のお話って、どおお?


littlemermaid-500-3.jpgさて、1989年にディズニーがアンデルセンの「人魚姫」を長編アニメーションとして世に出し、これが大ヒット。今回は実写版だが、もともとのアンデルセンの原作はこれまた何とも切なく残酷なお話で、ヒロインの人魚姫は、最後は泡となって消えてしまうのだ。童話のはずなのに、それを読んだ“良い子”たちは涙と共に本を閉じるだろうな。しかし、ディズニーは、そんなことをさせない。ちゃんとハッピーに胸をなでおろして映画館を後にしてもらう。今回はよりスケールアップした映像体験も楽しめる。


littlemermaid-500-1.jpg海の王トリトン(ハビエル・バルデム)の末娘アリエル(ハリー・ベイリー)は、明るく自由奔放、海底に落ちてくる人間の道具を集めながら、人間界にあこがれのまなざしを向けていた。だが、父親は「けして海の外へ出てはいけない」と厳しく言い渡していた。それなのに、運命の嵐の日、アリエルは航海中の船舶に近づいていく。船は難破し、海に投げ出された王子エリック(ジョナ・ハウアー=キング)を助けるのだったが…。


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常識あるいは従来通りと呼ばれるものから少しはずれていることにより、どうやらネットなどで否定的な意見が上がっているようだ。まずは、人魚姫アリエルに黒人のハリー・ベイリーを起用したこと。ディズニーのアニメ版では赤毛の白人で、子どもの頃からあのアニメになじんできた人には受け入れ難いのだそう。つくづく人は変革とか冒険に対して積極的でないのね、と思ってしまう。それから、アリエルは黒人なのに他の姉妹は白人やアジア系、父親役のハビエル・バルデムはラテン系、エリック王子は白人だが、その母親は黒人だった。これが不自然だというなら、ダイバーシティが叫ばれる現代において何を言ってるんだろうと思う。いいじゃん、いろいろいてはって。人種ハラスメントの問題に対して、ディズニーは“いいじゃん、いろいろいてはって”を打ち出したかったのかなと考える。

 

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まあそういうことを抜きにしても、ハリー・ベイリーの歌声はすばらしい!ビヨンセが自身のツアーに参加させているというだけの実力を、ここでも証明している。目と目の間隔が少し大きいけれど、チャーミングな表情で、アリエルをみごとに演じ切った。めくるめく海底世界の描写、海の主導権を握ろうという野望むき出しの海の魔女アースラ(メリッサ・マッカーシー)のド迫力、カニのセバスチャンのユーモラスなキャラ、クライマックスの壮大なスペクタクルなどに注目して。もちろん数々の名曲にもどっぷり浸ってほしい。

 

(宮田 彩未)

公式サイト:https://www.disney.co.jp/movie/littlemermaid

配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン

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