原題 | THE MENU |
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制作年・国 | 2022年 アメリカ |
上映時間 | 1時間48分 R15+ |
監督 | マーク・マイロッド |
出演 | レイフ・ファインズ、アニャ・テイラー=ジョイ、ニコラス・ホルト、ホン・チャウ、ジャネット・マクティア、リード・バーニー、ジュディス・ライト、ポール・アデルスタイン、ジョン・レグイザモ他 |
公開日、上映劇場 | 2022年11月18日(金)~TOHOシネマズ梅田。TOHOシネマズなんば、なんばパークスシネマ、イオンシネマシアタス心斎橋、TOHOシネマズ二条、MOVIX京都、109シネマズHAT神戸、OSシネマズミント神戸ほか全国ロードショー |
~だんだんと怖くなる、あやしげな集団ディナーのてん末は?~
いわゆるグルメものだが、先が読みづらく一筋縄ではいかないスリラー的なエッセンスを含んだ作品。おまけに舞台は孤島のレストラン。脱出不可能と思われる密室劇が、美味しそうというよりは奇妙な料理とともに繰り広げられる。ぜひ心して召し上がれ。
アメリカの北西部、太平洋沖あいの島に、著名なシェフが牛耳る「ホーソン」という名のレストランがある。マーゴ(アニャ・テイラー=ジョイ)は、グルメに目がないタイラー(ニコラス・ホルト)に連れられて、その日のディナーをそこで味わうことになっていた。島へ向かう船に同乗した人々の中に有名な料理評論家リリアン・ブルーム(ジャネット・マクティア)の顔を見つけたタイラーは興奮する。「今夜はすごいことになる!」。島に到着した一行は無表情の仮面をかぶった給仕長のエルサ(ホン・チャウ)に迎えられ、カリスマ・シェフのジュリアン・スローヴィク(レイフ・ファインズ)の登場となるのだが…。
大きな窓から広大な海が見えるスタイリッシュなレストランの中で、シェフの手をたたく音が掛け声のようになって、調理スタッフの動きを支配する、それはまるで厳格な軍隊のよう。何なんだ、これはと不審がる客たちの前に運ばれてくるコース料理は、一風変わった前衛的ともいうべきアートな一品ばかり。スペインのカタルーニャ地方で名匠フェラン・アドリアが率いていたが2011年に閉店した伝説的なレストラン「エル・ブリ」(エル・ブジとも表記される)の料理を思い出した。もちろん行ったことなどないが、ドキュメンタリー映画にもなり、“世界一予約のとれないレストラン”と呼ばれたそこの料理に非常な興味を覚えたものだ。しかし、この映画の中の料理はだんだん不気味にエスカレートしていき、最後の一品となったであろうそれにはのけぞる。そして、皮肉なことに、登場する料理の中で最も美味しそうに見えたのが、好きな人が多いけれど洗練からは遠く離れたあの一品というのも面白い。
料理の合い間に、参加した客たちが抱えているそれぞれの問題や、オモテとウラのある人となりが引きずり出され、人物模様にスリルが加味されていく。シェフの意図は何なのか、給仕長のエルサに目を付けられたマーゴはどうやって難を逃れることができるのか。まるで、アガサ・クリスティーのミステリーを味わっているかのようにゾクゾクする。過剰なグルメマニアへの風刺もあり、エグさにゴージャスを混ぜ合わせた印象深いディナー体験を楽しんだ。
(宮田 彩未)
公式サイト: https://www.searchlightpictures.jp/movies/themenu
配給:ディズニー
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