原題 | ●『たまご割れすぎ問題』 原題:EGGED ON|1926年|23分、 ●『全自動レストラン』 原題:HE DONE HIS BEST|1926年|23分、 ●『ほらふき倶楽部』 原題:NOW YOU TELL ONE|1926年|21分、 ●『怪人現る』 原題:THERE IT IS|1928年|22分、 ●『とても短い昼食』 原題:THE EXTRA-QUICK LUNCH|1917年|6分、 ●『オトボケ脱走兵』 原題:A.W.O.L. or ALL WRONG OLD LADDIEBUCK|191 |
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制作年・国 | 1928年 アメリカ |
上映時間 | 1時間46分 ※上映作品はすべて無声映画。日本上映用に新たに録音した伴奏音楽を付けて上映。 |
監督 | チャーリー・バワーズ |
公開日、上映劇場 | 2022年10月8日(金)~シネ・ヌーヴォ(大阪 九条)、11月5日(土)~元町映画館(神戸)、近日公開、京都みなみ会館 |
素朴なアイデアが奇想天外なおもしろさに発展する
サイレント映画
2021年1月の神戸クラシックコメディ映画祭で、初めてチャーリー・バワーズの名前を知り、彼の映画に出会った時の驚きと興奮は、一年半経った今も、鮮明に心に焼き付いている。
バワーズの映画には、自身が演じる発明家が度々登場する。「割れない卵」、「万物が実る木」と発想は素朴。でも、バワーズの手にかかると、躍動感あふれる実写映像と緻密なストップ・モーション・アニメを巧みに、テンポよく織り交ぜ、とんでもなく楽しく、万人の常識をはるかに突き抜けたような、奇想天外な物語が展開し、唖然としながらも、ただもう楽しくて、画面にくぎ付けになる。
たとえば、『ほらふき倶楽部』の「万物が実る木」の枝から芽が出て、するすると伸びると、それが猫のしっぽになり、一匹の猫が生れ落ちる、そうして何十匹もの猫が生まれる、その動きのおもしろさに抱腹絶倒である。『たまご割れすぎ問題』では、卵が孵化し、殻を破って出てきた「もの」が、たちまち、ひよこではなくミニカーになって、動き出す。かごの中の卵の山から、次々と何十台ものミニカーが孵れて動き回る映像を目にした時の驚きといったら…。しかも、このミニカーが細部まで細かく描かれていて、どこかシュールに見えて不思議なのだ。これを20分ほどの短編映画として一つの作品にまとめあげたバワーズの技量に拍手喝采だ。『怪人現る』に至っては、ひげと眼鏡のポーカーフェイスの珍妙なおじいさんが、唐突に画面に現れ、去っていくたびに、劇場は爆笑の渦に包まれた。
今回、日本上映用に、新たに伴奏音楽がつけられ、おもしろさが倍増している。サイレント映画のコメディといえば、チャールズ・チャップリン、バスター・キートン、ハロルド・ロイドといった名優たちが広く知られているが、彼らとほぼ同時代に、バワーズのようなおもしろい俳優がいたことは、これまで知られることもなく、埋もれていた。今回の上映により、再見することができるのは、嬉しいかぎりだ。この貴重な機会を逃すことなく、ぜひ映画館で、ご自分の目で確かめてほしい。字幕だけで、セリフも説明もなく、想像力をフル稼働して映画の世界に浸り、客席が笑いに包まれる極上の映画体験ができること間違いなしである。
(伊藤 久美子)
公式サイト⇒https://kobe-eiga.net/nonobowers/
配給:プラネット映画保存ネットワーク/提供:Lobster Films
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