制作年・国 | 2022年 日本 |
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上映時間 | 1時間59分 |
監督 | 原案・監督・脚本:内田英治 |
出演 | 阿部寛、清野菜名、磯村勇斗、高杉真宙、岡部たかし、渋川清彦、六平直政、光石研、倍賞美津子 |
公開日、上映劇場 | 2022年8月26日(金)~ TOHOシネマズ梅田他(梅田、なんば、二条、西宮OS)他全国のTOHOシネマズ系、MOVIX系、ほか全国ロードショー! |
意に添わぬ音楽隊へ異動して初めて知るチームワークの重要性
ベテラン刑事の変化に学ぶ、協調して生きることの幸福感
刑事一筋30年、独自の捜査方法とカンを頼りにする昔気質の成瀬司(阿部寛)が、ある日異動を命じられる、警察広報課の音楽隊へ。「なんで俺が?」――自信過剰で傲慢で協調性の無さから捜査本部から外されたのだ。バツイチで認知症の母親(倍賞美津子)と二人暮らし、離れて暮らす娘にも疎まれ、今さら音楽隊とは……周囲の気持ちなどお構いなしに職務に邁進してきた男が、音楽隊の演奏活動を通じて初めて知る一所懸命に頑張る人の気持ちやチームワークの達成感。挫折を経験して見えてくる多くのことが大きな成長へと繋がっていく。躍動感のある吹奏楽の演奏と、心を軽やかにする音楽に癒される痛快ヒューマンドラマ。
仏頂面でしぶしぶドラムを叩く成瀬司を演じた阿部寛がいい。家庭を顧みず、出世にも無関心、認知症の母親にイラつきながら、未練がましく捜査に口を挟もうとしては捜査本部から追い出されてしまう。屈辱を味わった男の後姿のなんと寂しいこと。勇敢で毅然とした華のある役も、こうした詫びしさを滲ませた影のある役も、ふり幅の大きい阿部寛ならではの人間味あふれるキャラクターとなっている。なんとドラム演奏は本作が初めてというからびっくり!身体全体の動きを含めた見せる叩き方を研究したり、映画『セッション』の影響を受けたりしながら基礎から練習して、2か月あまりで叩けるようになったらしい。音楽隊の他のメンバーも吹き替えなしで、見事な演奏を披露しているので要チェック!
それにしても、いくら経験豊富な先輩であっても、何かにつけて否定されたり威圧的な態度をとられたりしては堪ったもんじゃない。先輩刑事の時代錯誤的言動に振り回される若い刑事を演じた磯村勇斗や、主人公に癒しの音楽の素晴らしさを気付かせ、他人を思いやるキッカケをもたらすシングルマザーのトランペット奏者を演じた青野菜名、刑事志望の若い警官を演じた高杉真宙など、若手の光る助演も本作の主人公の変化を清々しく感じることができる理由のひとつと言えるだろう。
また、本作では世間を揺るがす高齢者を狙った詐欺や強盗殺人事件が扱われているが、実際電話で騙されてお金を奪われるケースは後を絶たず、未だに大きな社会問題となっている。この映画が少しでも防犯に役立てればと願わずにいられない。
(河田 真喜子)
公式サイト:https://gaga.ne.jp/ongakutai/
配給:GAGA
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