原題 | LICORICE PIZZA |
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制作年・国 | 2021年 アメリカ |
上映時間 | 2時間14分 |
監督 | ポール・トーマス・アンダーソン |
出演 | アラナ・ハイム、クーパー・ホフマン、ショーン・ペン、トム・ウェイツ、ブラッドリー・クーパー、ベニー・サフディ他 |
公開日、上映劇場 | 2022年7月1日(金)~大阪ステーションシティシネマ、TOHOシネマズなんば本館・別館、京都シネマ、シネ・リーブル神戸ほか全国ロードショー |
~70年代の気分と音楽に彩られ、ジグザグに突き進む恋のてん末~
ハリウッド近郊のサンフェルナンド・バレー、高校生のゲイリー(クーパー・ホフマン)は、生徒の写真撮影のために来校したカメラマンのアシスタント、アラナ(アラナ・ハイム)にぞっこん一目ぼれしてしまいます。25歳の彼女に「君と出会ったのは運命だ!」と猛然とアタック、しつこいぐらいにつきまとい、ついに一緒に食事できることに。テレビにも出演する子役として活躍するゲイリーは自信過剰気味ですが、一方、アラナは将来の夢を見つけられずにいて、どこかギャップを感じています。ふたりはささいなことで喧嘩したり、さまざまなアクシデントによって絆を深めていったり。このふたり、いったいどうなっていくんだろう、ハッピーエンドになるのか、別れてしまうのか、なかなか予想がつかない展開です。
ベルリン、カンヌ、ヴェネツィアと、世界の三大映画祭で監督賞を受賞しているポール・トーマス・アンダーソン監督の最新作。いわゆる “ボーイ・ミーツ・ガール”もので、なかなかに興味を引かれる配役なんです。三姉妹のポップ・ロックバンド「ハイム」の三女、アラナ・ハイムと、主に味のあるバイ・プレーヤーとして活躍した故フィリップ・シーモア・ホフマンの息子であるクーパー・ホフマンを起用しています。このふたりは、本作によってすでに幾つかの映画賞で主演女優賞、助演男優賞を獲得し、熱い注目を浴びているので、今後も大いに期待されますね。それに、ショーン・ペン、トム・ウェイツ(最近はもうめったに出てこないのに)、ブラッドリー・クーパーという豪華布陣にも驚かされました。特に、ブラッドリー・クーパーの超怪演にはのけぞりそうになりますよ。
70年代を舞台に、実在した人をモデルにお話を作ったというから、アメリカ70年代にまつわるトリビアもいっぱい忍ばせてあり、よく知っている人なら歓喜!でも、知らなくても十分に楽しめる、すそ野を広げた作品ですから大丈夫。流れる音楽は、60~70年代のロックやジャズ、ソウルなどが多用され、なかなかに渋い選択です。ちなみに、タイトルから想像するようなピザやピザ屋は出てきません。「リコリス・ピザ」は、70年代に南カリフォルニアで人気を博したレコード・チェーン店の名前で、そこを訪れたお客さんは、無料で出されるリコリス(甘草)を噛みながら、自由にレコードを試聴できたのだそう。その頃の開放的な空気感を表現したくて、監督はこれをタイトルにしたようですね。特徴的なアラナ・ハイムの容貌と、つかず離れず、どっちやねん?と突っ込み入れたくなる恋模様が印象に残る作品です。
(宮田 彩未)
公式サイト:https://www.licorice-pizza.jp/
配給:ビターズ・エンド、パルコ
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