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『ボブという名の猫2 幸せのギフト』

 
       

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作品データ
原題 A Christmas Gift from Bob
制作年・国 2020年 イギリス
上映時間 1時間32分
原作 ジェームズ・ボーエン「ボブが遺してくれた最高のギフト」&「ボブが教えてくれたこと」(辰巳出版より、好評発売中)
監督 チャールズ・マーティン・スミス『ベラのワンダフル・ホーム』
出演 ルーク・トレッダウェイ(『ボブという名の猫 幸せのハイタッチ』『不屈の男 アンブロークン』)、ボブ(『ボブという名の猫 幸せのハイタッチ』)、クリスティーナ・トンテリ=ヤング(「デンジャー・ゾーン」「シスター戦士」(Netflix))、ファルダット・シャーマ、アンナ・ウィルソン=ジョーンズ他
公開日、上映劇場 2022年2月25日(金)~新宿ピカデリー、シネスイッチ銀座、大阪ステーションシティシネマ、なんばパークスシネマ、MOVIX京都、神戸国際松竹ほか全国ロードショー ※アップリンク京都は順次公開

 

ニャンとも愛しい、

猫と青年をめぐるハッピー・クリスマス・ストーリー

 

実話に基づいた映画『ボブという名の猫 幸せのハイタッチ』(2016年)は大ヒットし、この映画のご本人ジェームズ・ボーエンとご本猫ボブが翌年に来日したのを覚えている人も多いことだろう。このたびその続編が作られ、監督はロジャー・スポティスウッドからチャールズ・マーティン・スミスにバトンタッチ。この人はもともと俳優で、『アメリカン・グラフィティ』(1973年/ジョージ・ルーカス監督)や『アンタッチャブル』(1987年/ブライアン・デ・パルマ監督)にも出演していたという。その後、監督業に乗り出した。本作は、第一作の“ボブ猫”に輪をかけてハートウォーミングな仕上がりになっている。

 
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どこからか迷い込んできた野良猫ボブとのふれあいやさまざまな苦労を本に書いて、今やちょっとした有名人になった元ストリート・ミュージシャンのジェームズ(ルーク・トレッダウェイ)。彼は、路上で過ごした最後のクリスマスを思い出す。その頃、暮らし向きは非常に厳しく、支援団体に属するビー(クリスティーナ・トンテリ=ヤング)のきめ細かなサポートを受けながら、ボブを連れて路上演奏を続けていた。ところが、動物福祉局の職員がジェームズに難癖をつけてくる。本当にこの猫の世話をきちんとしているのか、そういう余裕があるのか、と。ボブと離れることなんか考えもしなかったジェームズだが、ある日、ボブの体調が悪くなり…。

 
Bob2-500-2.jpg以前私が一緒に暮らしていた茶トラの猫が、このボブにとてもよく似ているので、私事ながら胸がきゅんきゅんする(彼女は20歳まで生きた)。そして、この映画でジェームズを温かなまなざしで見守る人々の“ええ人ぶり”にも胸がきゅんきゅんする。勝ち気だが心優しく有能な仕事人のビーや、親身で人生経験が豊かそうなコンビニの店主ムーディーに注目。この人の語る言葉がイイ!3人の巡礼と袋の小話だとか、「過去を未来の重しにするな」だとか、 “ちょっとええ話”がふりまかれる。


Bob2-500-3.jpgまさしくクリスマス・ストーリーと言える内容なので、公開が2か月早ければぴったりだったのになあ、という気はする。でも、単なる「めでたし、めでたし」だけのお話でなく、弱者の視点から見た世間の在り様と、格差社会に対するNO!がしっかり描かれていると思った。「貧乏人は透明人間」と嘆くビーの言葉にもそれが表れている。あいかわらずのハイタッチを披露したり、サンタの衣装を着けられたりして、ボブはやっぱり愛くるしい。彼がプロの“演技する猫”ではないのに、多くのスタッフに取り囲まれて撮影されるという現場、その大変さについて思いが及んだ。しかし、この映画がボブの見納め。2020年の6月に、ボブは亡くなったそうだ。推定年齢14歳と聞く。合掌。

 

(宮田 彩未)

公式サイト:http://bobthecat2.jp/#modal

配給:コムストック・グループ

提供:テレビ東京、コムストック・グループ/ 配給協力:REGENTS  

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