原題 | Godzilla vs. Kong |
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制作年・国 | 2021年 アメリカ |
上映時間 | 1時間51分 |
監督 | 監督:アダム・ウィンガード 脚本:エリック・ピアソン マックス・ボレンスタイン |
出演 | アレクサンダー・スカルスガルド ミリー・ボビー・ブラウン レベッカ・ホール ブライアン・タイリー・ヘンリー 小栗 旬 エイザ・ゴンザレス ジュリアン・デニソン カイル・チャンドラー デミアン・ビチル |
公開日、上映劇場 | 2021年7月2日(金)~全国東宝系にてロードショー |
~反則、裏技、何でもありの壮絶なモンスター・バトル~
ついにゴジラとキングコングが激突――。正真正銘、極めつけのバトルですが、本音を言わせてもらえば、闘ってほしくなかったです。なぜなら、すでに一度、対戦していますからね。年配者ならピンとくるでしょう。そうです、59年前の東宝怪獣映画『キングコング対ゴジラ』(1962年)! 熱海城での激闘の末、キングコングが海上を去って行くラストシーンが忘れられません。
ならばゴジラはどうなったのか? 海中に沈んでいったのか……。ぼやかした結末でしたが、ぼくの頭の中ではキングコングの勝ちで決着がついていました。なのに、ふたたび闘わせるなんて、イヤらしいわ~(笑)
ハリウッド生まれのキングコングは単独で何本か製作されていますね。本作は、『GODZILLA ゴジラ』(2014)、『キングコング:髑髏島の巨神』(2017)、『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』(2019)に続く、ハリウッドの最新モンスター・ムービーの第4弾です。この流れからして、やはり両者をぶつけるしか仕方がなかったのでしょう。
冒頭、いきなりゴジラがアメリカ南部のフロリダ沖に現れ、ハイテク企業エイベックス社を攻撃します。海から出現して、海に戻っていく。このパターンは未来永劫不滅です。それを順守してくれてうれしかった。これからも絶対にこの不文律を崩さないでほしいです。
どうしてこの企業を狙ったのかはさておき、ゴジラの破壊力、めちゃめちゃアップしていました。何を隠そう、ぼくはゴジラと同い年(1954年生まれ)で、それなりにシンパシーを感じているんですが、ここまでパワフルになると、ちょっと引いてしまいます。大昔、「シェー」(若い人向けに解説:マンガ「おそ松君」の登場人物イヤミのギャグ・パフォーマンス)をやっていたあの剽軽なゴジラはどこに行ってしまったのでしょうかね(笑)。
恐るべきゴジラの出現で、未確認生物をリサーチするモナークという国際特務機関の研究者らが対抗処置として、南洋の髑髏(どくろ)島で暮らしているコング(以下、コングと表記)を連れ出し、ゴジラと闘わせるのです。ひじょうにわかりやすい発想です。麻酔で眠らされ、貨物船でコングが運ばれる光景はやっぱり絵になりますね。
ゴジラを信じる者、あるいは利用しようとする者、コングに期待をかける者……。二大モンスターを取り巻くいろんな人間の思惑がサブ・プロットとして描かれていきます。その中でホッとさせられるのが、コングと心を通わせる少女ジア。コングには女性が欠かせませんね。この「ルール」もきちんと守ってくれてうれしかった!
ゴジラと対峙した亡き芹沢博士の息子に小栗旬が扮しています。ハリウッド・デビューです。どんな役どころかは公表できませんが、これまでにない驚くべき表情を見せてくれますよ。乞うご期待を!
ぼくの一番好きな怪獣は何と言ってもラドンで、最強は宇宙怪獣キングギドラだと思っていますが、ゴジラとコングは地球に生存するモンスター界の両巨頭であるのは間違いありません。ラドンはちょっと役不足ですね(笑)。その2頭がバトルを繰り広げるのですから、そらスゴイです! 香港を舞台にしたクライマックスシーンは、『キングコング対ゴジラ』の100倍ほどの迫力がありました。
実は怪獣好きなので、ここでちょっと細かい事を記します。ゴジラはもともと身長が50メートル、体重が2万トンでした。しかしこれだけ重いと、計算上、自沈するらしいのですが、そのことはここでは無視し、その後、どんどん大きくなり、『シンゴジラ』(2016)では、身長が118.5メートル、体重が何と9万2000トンに!本作では身長120メートルと説明されており、体重はわかりません。
一方、コングは1933年に初登場したときの身長はわずか7メートル。それがゴジラと同様、成長しまくり(?)、『キングコング対ゴジラ』では身長45メートル、体重2万500トンになりました。そして今回は身長が103メートルとのこと。体重は不明です。「大きいことはいいことだ!」(超古いCMで、すんません!)は映像的に迫力が出るので善しとしますが、もうこの辺りで打ち止めにしてもいいのでは。
まぁ、このように若干、ゴジラの方がでっかい。しかも強大な尻尾の一撃と口から出る放射能線というすさまじい武器を持っています。片やコングは基本、腕力のみ。ぼくは口から火炎とかビーム光線とかが放たれるのんあんまり好きではないんです。最初から発射すれば、勝敗がすぐにつくのにやらない。その辺りも腑に落ちません(笑)。
だから、体を張って健気に闘うコングの方に身びいきしてしまいます。その姿は、ピストルを撃ちまくるワルに対し、どこまでも素手で向かっていく『悪名』の朝吉親分そのもの! コングが進化して、何やらワケの分からん光線を放ったらどないしょう……とずっと気になっていましたが、杞憂に終わり、安堵した次第。
それに感情を出さないゴジラ(爬虫類?)よりも、表情豊かなコング(哺乳類)を心情的に応援してしまいます。別に爬虫類を差別しているわけではありませんが、なにせコングは哺乳類でも人類に近い霊長類ですからね。
そんな両雄、果たしてどちらに軍配が上がるか。映画会社からのきついお達しで、対決の結末は死んでも言えません。「地球最大の究極対決」「破壊神VS守護神」というキャッチコピー、見事にこの映画の本髄を突いていますよ~!!
武部 好伸(エッセイスト)
公式サイト:https://godzilla-movie.jp/
配給:東宝
© 2021 WARNER BROTHERS ENTERTAINMENT INC. & LEGENDARY PICTURES PRODUCTIONS LLC.