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『マーメイド・イン・パリ』

 
       

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作品データ
原題 Une sirène à Paris  
制作年・国 2020 フランス
上映時間 1時間42分
監督 監督・脚本:マチアス・マルジウ  共同脚本:ステファン・ランドスキ
出演 ニコラ・デュヴォシェル、マリリン・リマ、ロッシ・デ・パルマ(『神経衰弱ぎりぎりの女たち』『マダムのおかしな晩餐会』)、ロマーヌ・ボーランジェ(『野生の夜に』『太陽と月に背いて』)、チェッキー・カリョ(『ニキータ』『世界でひとつの金メダル』)
公開日、上映劇場 2021年2月11日(木・祝)~大阪ステーションシティシネマ、なんばパ-クスシネマ、MOVIX京都、神戸国際松竹 ほか全国ロードショー

 

風変わりでメルヘンチックな現代のおとぎ話

 

怪我をしてセーヌ川の岸辺に打ちあげられた美しい人魚と、それを介抱し海に戻そうとする優しいとのラブストーリー。海から遠いパリに人魚が?と驚かれるかもしれないが、2016年のセーヌ川の氾濫で海の魚やカモが打ちあげられた光景をヒントにこの物語は創られという。音楽家でもあり小説家・映像作家とマルチな才能で活躍するマチアス・マルジウ監督は、劇中に登場する絵本やアニメーションも手掛けている。身も心も疲弊する現代人に胸アツなファンタジーで恋の魔法をかけてくれる、いま最も期待されるクリエーターである。


marmaid-500-7.jpg手痛い失恋ですっかり心を閉ざしてしまったガスパール(ニコラ・デュヴォシェル)は、父親(チェッキー・カリョ)が経営するボートハウスの秘密クラブ「フラワーバーガー」でウクレレ歌手として働いていた。ある夜、セーヌ川の大増水で岸辺に打ちあげられた弱った人魚(マリリン・リマ)を見つけ、家に連れて帰る。黄色いアヒルやレトロなおもちゃでいっぱいのバスタブに人魚を浸し、傷の手当をする。人魚の名前はルラ。恐ろしいことに、人間から身を守るために歌で男たちを虜にしては心臓を破裂させ死なせてしまっていたのだ。ガスパールにも歌ってみるが一向に効かない。


marmaid-500-1.jpgそんなルラを懸命に看病して、二日目の夜明けまでに海に戻らなければ死んでしまうというルラのために奮闘するガスパール。彼の優しさと子供のような純粋さに次第に惹かれていくルラ。恋する心を失くしたガスパールも愛する喜びを歌う美しいルラとの時間にトキメキを感じ、いつしか胸の苦しみを感じるようになっていた。一方、夫を人魚に殺された女医のミレナ(ロマーヌ・ボーランジェ)は、復讐心に燃えてルラを追い掛ける。息苦しさに耐えながらルラを抱えて海に戻そうとするガスパール。果たして、無事に……?


marmaid-500-2.jpg飛び出す絵本を用いた物語の展開やレトロなおもちゃを散りばめたアンティークなビジュアルなど、『アメリ』のジャン=ピエール・ジュネの世界観をもっと可愛らしくしたようなファンタジックな映像美で楽しませてくれる。現代に迷い込んだ美しい人魚との恋、トム・ハンクスとダリル・ハンナ主演、ロン・ハワード監督の『スプラッシュ』(1984年)を思い出されるが、ポーランド映画『ゆれる人魚』(2018年公開)のようなダークな部分もプラスされているような独特な世界観は、ちょっと風変わりな現代のメルヘンと言えるだろう。


marmaid-500-4.jpgガスパールを演じたニコラ・デュヴォシェルは、あまり甘さを感じさせないシャープな顔立ちと低い声だが、飛び出す絵本やレトロなおもちゃを大事にする子供のような心を持つキャラというギャップに魅了される。人魚ルラを演じたマリリン・リマは、透明感のある美しさと甘い歌声で、それこそ心臓が破裂するほどの魅力にあふれた新人女優である。父親役のチェッキー・カリョやロマーヌ・ボーランジェ、それに強烈な個性で存在感を示す隣のおせっかいおばさん役のロッシ・デ・パルマといったベテラン俳優で脇を固め、まさに見逃せない名作である。

 

(河田 真喜子)

公式サイト: http://mermaidinparis.jp

提供・配給:ハピネット 

後援:在日フランス大使館/アンスティチュ・フランセ日本  

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