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『ルーブル美術館の夜 ダ・ヴィンチ没後500年展』

 
       

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作品データ
原題 A Night at the Louvre: Leonardo da Vinci
制作年・国 2020年 フランス 
上映時間 1時間35分 4K 
監督 ピエール=ユベール・マルタン
出演 ヴァンサン・ドリューヴァン、ルイ・フランク
公開日、上映劇場 2020年1月1日(金)~大阪ステーションシティシネマ、MOVIX京都、神戸国際松竹 他全国ロードショー 【料金:大人 2,000 円 学生 1,500 円(税込)】

 

ルーブル美術館の至宝「モナ・リザ」を独り占め!?

すべては絵画に“生命”と“魂”を宿らせるため――

ダ・ヴィンチの真髄に迫る空前絶後の大規模回顧展

 

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世界一有名な天才画家レオナルド・ダ・ヴィンチ(1452~1519)。絵画のために自然科学から宇宙・生命科学に至るまであらゆる分野の研究を重ねていたルネッサンスを代表する芸術家である。彼の代表作である「モナ・リザ」を所蔵するパリのルーブル美術館にて、2019-20年にかけてダ・ヴィンチ没後500年を記念した【レオナルド・ダ・ヴィンチ展】が開催された。貴重な絵画や素描に手記などが、ナショナル・ギャラリーやエルミタージュ美術館にヴァチカン博物館など世界中から集められた大規模回顧展で、チケットも入手困難になるほどの人気ぶりだったそうだ。


本作は展覧会の様子を記録しただけの映画ではない。この展覧会の準備に10年を費やしてきた二人のキュレーターが、ダ・ヴィンチの強い信念であった「絵画は科学である」を主テーマに、[光と影][自由][科学][人生]いう4つの切り口で解き明かしていく貴重な解説は、他に類を見ない分かりやすさで“レオナルド・ダ・ヴィンチ”を身近に感じさせるドキュメンタリー映画である。しかも、ルーブル美術館の公式な全面協力のもとで撮影された4K映像は、肉眼では発見できないような下絵の部分も捉え、修正・加筆を重ねたダ・ヴィンチの想いや当時の状況などがひしひしと伝わってくる。


Louvre-500-1.jpg史上初の大規模回顧展となった【レオナルド・ダ・ヴィンチ展】の入場者は1日平均1万人。それに対し、本館に展示されている「モナ・リザ」へは1日平均3万人が訪れるという。世界一有名な肖像画の人気はいまだに衰えていない。「ブノワの聖母」「岩窟の聖母」「ミラノの貴婦人」「イザベラ・デステの肖像」等々。中でも「ほつれ毛の女」の美しさには驚いた。着色されていない素描だけの未完成品だが、うつろ気に斜めを向いた美女の吸引力は鳥肌がたつほどだ。


Louvre-500-3.jpgダ・ヴィンチが最後まで手元に置いていたには、「岩窟の聖母」「洗礼者性ヨハネ」「モナ・リザ」の3作品のみ。本作では、その3作品を同時に観られるのも魅力。ダ・ヴィンチの生涯と共に巡って来た芸術の旅の最後に、誰もいなくなったルーブル美術館を滑るように駆け上がって、「モナ・リザ」の展示室へと誘う。彼女の前に立つと、「また会えましたね」と語り掛けたくなるから不思議だ。光と影の表現法を駆使し、「天地創造」を思わせる背景画に精緻な人物描写の技法は、柔らかな皮膚の感触や生命感あふれる瞳を生み出して、観る者を虜にする。正に生命と魂を宿した絵画の集大成を目の当たりにすることができるのである。


Louvre-500-4.jpg閉館後のルーブル美術館へ透明人間になったような感覚で入りこんでいく高揚感と、愛しい「モナ・リザ」を独り占めにできる至福のひとときに浸れるチャンスです!


ちなみに、9年前に訪れたローマで、閉館後のヴァチカン博物館を見学したことがある。世界中から多くの人々が訪れる人気の博物館は時間制限付きの予約制。それでもシスティーナ礼拝堂は大混雑のため撮影禁止となっている。それを閉館後に1時間で駆け巡ることになったのだ。ラファエロの間から狭くて暗い通路を抜けると視界がパアっと開け、ミケランジェロの「天地創造」と「最後の審判」が目に飛び込んでくる。システィーナ礼拝堂である。幸運なことに、他の外国の客人のためにライトアップされており、撮影も許可された。今思えば本当にラッキーだったと思う。二度目のヴァチカン博物館であったが、その時の興奮は一生忘れられない思い出である。

 

(河田 真喜子)

公式サイト: https://liveviewing.jp/contents/louvre/

制作:パテ・ライブ / 広報協力:ルーブル美術館

配給:ライブ・ビューイング・ジャパン 

© Pathé Live
 



【アート・オン・スクリーン】のお知らせ


artonscreen-pos.jpgアート・オン・スクリーンは、“映画館の大画面で美術を楽しむ”という全く新しい体験を提案するアート・ドキュメンタリーシリーズ。現地の風景、建築、文化に触れながら、時代背景と共に専門家による解説と併せてアーティストの人生に迫り、作品に秘められた想いを紐解く映像エンターテインメントです。

ロンドン・ナショナル・ギャラリー、ルーブル美術館、MoMAなど、世界中の有名美術館やギャラリーが所有する至高の作品の数々が、美術館では見ることのできない近さ、アングル、ラインナップで、映画館の大画面に展開されていきます。


今回のテーマは、「時代を創った芸術家たちの作品とその背景」。ラインナップは、美術史に燦然と輝く功績を残し、今なお影響を与え続けているレオナルド・ダ・ヴィンチ、パブロ・ピカソ、フリーダ・カーロ。偉大なる芸術家のほとばしる情熱、息づくタッチを、映画館の大画面でお楽しみください。

 



「アート・オン・スクリーン」として、下記3作品の上映がございます。

『天才画家ダ・ヴィンチのすべて』

『ピカソがピカソになるまで』

『フリーダ・カーロに魅せられて』

【チケット料金】

各作品:大人2,000円 学生1,500円 (税込) ※映画館の各種割引や、株主優待券等は使用できません。

●大阪ステーションシティシネマ:2021年1月29日(金)~ 3作品同時公開

●MOVIX京都:2021年1月29日(金)~ ダ・ヴィンチ / 2月26日(金)~ フリーダ / 3月26日(金)~ ピカソ

●神戸国際松竹:2021年1月29日(金)~ ダ・ヴィンチ / 2月26日(金)~ フリーダ / 3月26日(金)~ ピカソ


 

 

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