原題 | Les Parfums |
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制作年・国 | 2019年 フランス |
上映時間 | 1時間41分 |
監督 | グレゴリー・マーニュ |
出演 | エマニュエル・ドゥヴォス、グレゴリー・モンテル、セルジ・ロペス、ギュスタヴ・ケルヴェン、ゼリー・リクソン、ポリーヌ・ムーレン他 |
公開日、上映劇場 | 2021年1月15日(金)~ヒューマントラストシネマ有楽町、シネ・リーブル梅田、1月29日(金)~京都シネマ、シネ・リーブル神戸ほか全国ロードショー |
畑違いのふたりの衝突で笑わせ、
連帯でほっこり気分にさせるバディ・ムービー
いつの頃からか、化学物質アレルギーというのか何なのかよくわからないけれど、自然系アロマオイル以外の香料を、体が受け付けなくなった。パーマ液やヘアダイ、洗濯の柔軟剤や化粧品の匂いはもちろんだが、複雑なニュアンスを持つ香水までアウトになったのは少々残念である。昔は、海外ブランドの香水をあれこれ試し、身にまとっていい気になっていたもんだと懐かしく思う。だって、香水って、ある意味、ワクワクさせてくれる夢のようなものだから。
その夢のクリエーターが、本作のヒロインである。華やかな世界に君臨する調香師…かと思いきや、状況はなかなかにシビアである。かつて有名ブランドの大ヒット商品となった香水を世に送り出したアンヌ(エマニュエル・ドゥヴォス)だったが、取材プロモーションなどに追い回されてストレスが重なり、最も大切な嗅覚の鋭さを失ってしまったのだ。そのために、香水作りの第一線から退き、不本意な仕事をせざるを得なくなっていた。そんな彼女のもとに、運転手として、ギヨーム(グレゴリー・モンテル)という男が派遣されてきた。離婚調停中の彼は、娘の共同親権も失いそうで、こちらもシビアな境遇だった…。
経済的な生活レベルは段違いだし、性格の相性がいいとはけしていえないアンヌとギヨームだが、助け合ったり、言い合ったりしながら、少しずつお互いのことが見えてくる。笑いを誘う場面や、しみじみとした気持ちにさせる場面も多い。プライドが高く、気難しく、自分の領域に土足で入ってこないで、というアンヌが、本音を語ったり、ギヨームの生活についてアドバイスしたり、と思わぬ変化を見せる。そして、ハリウッドスタイルなら、「ふたりはめでたく恋仲になりました」と締めくくるだろうが、エスプリの国フランスらしく、意外ななりゆきを用意しているところがイイ!
世の中には、嗅覚を使ったこういう仕事があるのだと少々驚くシーンもあったし、ホテルのシーツについている洗剤の匂いが嫌だから、出張にはシーツを持参するというアンヌのこだわりにもびっくり!鼻に保険をかけている人たちの裏舞台をのぞいたようで、なかなかに興味深い。ちなみに、本作は、ディオールやエルメスの専属調香師の協力を得て完成したという。
(宮田 彩未)
公式サイト: https://parfums-movie.com/
配給:アットエンタテインメント
(C)LES FILMS VELVET-FRANCE 3 CINEMA