三谷幸喜が贈る、実話を基にしたシベリアン・ロードムービー！？

伊勢沖での遭難から１０年の年月をかけて帰国、

大黒屋光太夫と神昌丸乗組員のシベリア大横断の大冒険譚！！！

“「半沢直樹」ロス”の皆様、お喜び下さい。芝居(特に顔芸)の格闘技のような前代未聞の迫力で日本中を沸かせたTVドラマ「半沢直樹」。特に今回は歌舞伎界からの出演者も多く、間合いやセリフの言い回しに見得を切るような型、さらにアドリブの連発と、歌舞伎の魅力がふんだんに盛り込まれた実に見応えのあるドラマとなりましたね。思わず「よっ、澤瀉屋（おもだかや）！」（市川猿之助・香川照之の屋号）と大向うはって拍手を送りたくなるほどでした。そんな大人気ドラマ終了の寂しさを打ち消してくれる映画が１０月２日より公開されます。それは、シネマ歌舞伎『三谷かぶき 月光露針路日本（つきあかりめざすふるさと） 風雲児たち』です。タイトルが長いので、シネマ歌舞伎『風雲児たち』と呼んで下さい。
 

三谷幸喜＝作・演出の歌舞伎は『決闘！高田馬場』（2006）以来2作目。令和元年6月の歌舞伎座公演で連日大盛況を収めた舞台を、三谷幸喜自身が編集してシネマ歌舞伎化！ 重厚な声で貫禄を示す松本白鸚、主演・大黒屋光太夫役で出ずっぱりの活躍ぶりを見せる松本幸四郎、美しいロシア語を操りロシア娘にもモテちゃう磯吉を演じた松本染五郎、錚々たる親子三代共演が観られる、実に贅沢な舞台です。「半沢直樹」の香川照之は登場しないものの、市川猿之助に片岡愛之助が大活躍！特に、市川猿之助の、饒舌でムードメーカー的な庄蔵役と、なんとエカテリーナ女王の役まで、抱腹絶倒の細かい芸で魅了いたします。

三谷幸喜らしく、笑いあり、涙あり、口吸い（キスの古語）あり(?)、犬ぞりあり(?)、エカテリーナ宮殿での女王謁見ありの絢爛豪華な大冒険譚です！ 是非映画館でお楽しみ下さい。
 

【STORY】
江戸時代の1782年12月、大黒屋光太夫（松本幸四郎）を頭とする乗組員17人を乗せた神昌丸は伊勢を出港してすぐに遭難してしまい、8か月の漂流の末、アリューシャン列島の小さな島・アムチトカ島に漂着。そこで不遇の4年間を過ごし、何とか日本へ帰ろうとするが、船を造るどころか食糧もなく、仲間は次々と息絶えていく。そこで、ロシア政府の力を借りようと、カムチャッカ半島からオホーツク⇒ヤクーツク⇒イルクーツク⇒モスクワ⇒当時の首都・サンクトペテルブルクと、帰国許可を求めて凍てつくシベリア大横断の旅を続ける。

ようやくエカテリーナ女王に謁見するが、ロシア側も秘密保持のため光太夫たちを帰国させる訳にはいかず、好条件で慰留される。それでも、光太夫が帰国したい想いを切々と訴えると、なんと女王は帰国許可を与えた上に船まで用意してくれることに――苦節１０年、ようやく日本への帰国を果たそうとする光太夫、その傍らには……。

【時代背景】
江戸時代の帆掛け船は、海外逃亡を防ぐため、徳川家康の命令で帆を１本しか立てられない不安定な構造になっていた。そのせいで難破しやすく、遠洋には出られないため沿海航行を余儀なくされていた。鎖国政策を執っていた当時、神昌丸のように外国に漂着したとはいえ、一旦外国の文化に触れた者はたやすく帰国を許されなかった。「正月を故郷の伊勢で迎えたい！」「富士山を見たい！」……帰りたくても帰れない、遠い異国の地で果てようとも、心は日本の空へと飛んでいく望郷の念を訴えるシーンは、一番の見せ場となった。

（河田 真喜子）

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