制作年・国 | 2020年 日本 |
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上映時間 | 1時間55分 |
原作 | 野中ともそ「宇宙でいちばんあかるい屋根」(光文社文庫刊) |
監督 | 脚本・監督:藤井道人 主題歌:清原果耶「今とあの頃の僕ら」(カラフルレコーズ/ビクター) 作詞・作曲・プロデュース:Cocco |
出演 | 清原果耶、伊藤健太郎、水野美紀、山中 崇、醍醐虎汰朗、坂井真紀、吉岡秀隆、桃井かおり他 |
公開日、上映劇場 | 2020年9月4日(金)~梅田ブルク7、なんばパークスシネマ、T・ジョイ京都、OSシネマズ神戸ハーバーランド他全国ロードショー |
多感な少女が、不思議な“星ばあ”と一緒に過ごした、
かけがえのない夏
ヒロインのつばめ(清原果耶)は、優しく思いやりのある父(吉岡秀隆)と、もうすぐ赤ちゃんが生まれる明るい母(坂井真紀)とともに暮らす14歳の少女。彼女が気になっているのは、密かに恋心を抱いている隣家の大学生・亨(伊藤健太郎)の存在と、学校で噂になっている元カレ・笹川(醍醐虎汰朗)との関係、そして、つばめが2歳の時に家を出ていった実の母親のこと。家でも学校でも、心のどこかですきま風を感じているようなつばめだったが、ある日、通っている書道教室の屋上で、一風変わったおばあちゃん“星ばあ”と出逢う…。
原作は、野中ともその同名小説。青春途上にある“夢見る夢子さん”のつばめを軸に、メルヘンタッチでさまざまな人間模様を絡ませている。野放図で口は悪いが、ストレートにちょっとイイ言葉を放つ“星ばあ”。この映画には屋根がいっぱい出てくるのだが、「屋根の下で過ごすだけでなく、屋根を一緒にながめられる関係がいい」だなんて、たぶん“星ばあ”は、俯瞰的なまなざしの大切さを言ってるんだと思う。そうして、その俯瞰的なまなざしとは、幾つになってもなかなか自分のものにできない、人生の奥義なのではないだろうか。
エンディングで、Coccoが書き下ろした主題歌「今とあの頃の僕ら」を歌っているのは、主演の清原果耶。目のきれいな女の子だなあと感じたが、透明感のある歌声もイイ!この映画の余韻を爽やかな風のように彩ってくれる。2021年春のNHK連続テレビ小説『おかえりモネ』のヒロイン役にも抜擢されたというから、今後の活躍がますます期待される。彼女を取り巻く中堅・若手俳優たちがそれぞれにいい味を出しているが、やはり存在感バツグンなのは“星ばあ”を演じた桃井かおり。あの樹木希林の“得体のしれなさ”に通じるものがある。
最後に“星ばあ”の正体が明らかになるけれど、悩める青春時代にこういう出逢いがあったなら、人生の方向はだいぶ違っていたかもしれないなと考えたりする。「おまえもしぶとく生きろ!」…これが“星ばあ”の極めつけの激励。悩んで、悩んで、しぶとくなる。しぶといことはけして悪いことばかりじゃない。きっと、そういうことなんだろうな。
(宮田 彩未)
公式サイト: https://uchu-ichi.jp/
配給: KADOKAWA
© 2020『宇宙でいちばんあかるい屋根』製作委員会