制作年・国 | 2019年 日本 |
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上映時間 | 1時間57分 PG-12 |
原作 | 足立 紳「喜劇 愛妻物語」(幻冬舎文庫) |
監督 | 監督・脚本:足立紳(脚本『百円の恋』『きばいやんせ!私』『嘘八百』シリーズ) |
出演 | 濱田岳、水川あさみ、新津ちせ、夏帆、ふせえり、光石研、大久保佳代子他 |
公開日、上映劇場 | 2020年9月11日(金)~新宿ピカデリー、大阪ステーションシティシネマ、なんばパークスシネマ、MOVIX京都、神戸国際松竹ほか全国ロードショー |
~ダメ夫と毒舌妻が繰り広げる、七転八倒の変調愛情ドラマ~
たかが夫婦、されど夫婦。夫婦の機微というのは、当人たちにしかわからない。仲睦まじく見えるのに家では険悪なムードだったり、しょっちゅう喧嘩しているのに実は誰よりも相手のことを思いやっていたり…。絵に描いたような幸せが嘘っぽく見えるように、最適化夫婦なんてのも存在しない。同じ時間や空間を共有することで、傷つけ合って何かを失うこともあれば、何か大切なものが培われ熟成していくこともあるのだから。
なんと、本作は足立紳監督が自身の夫婦生活を小説という形で描き、それをもとに映像化したもの。脚本家の豪太(濱田岳)は、大学時代に知り合ったチカ(水川あさみ)と結婚して10年の歳月を重ね、5歳になった娘アキ(新津ちせ)と3人で暮らしている。だが、豪太の脚本は一向に世に出ず年収は50万円ほど、家計はもっぱらチカのパート仕事に頼っている。昔は豪太の夢を応援していたチカだが、今では上から目線のキビシイ叱責を浴びせ、セックスレスになった夫婦関係に不満を抱く豪太の誘いにもけして乗ってこない。そんな日常を打破すべく、妻と娘を連れて、四国への取材旅行を始める豪太だったが…。
夫婦を演じる濱田岳と水川あさみの台詞の応酬に、どっと笑ったり、くすりと微笑んだり…。濱田岳って、イジラレ役がぴたりとハマるんだなあとつくづく思う。それに対して啖呵を切る水川あさみのド迫力、でも、その裏に隠されている無念と優しさにほろっとしたりもするのだ。ホテル代を節約するために大胆にも電柱をよじ登るチカと、願掛けのようにして昔買い求めた赤いパンティを今も履いているチカ、これが同一人物なのだと思うと、人生はなかなかに面白い。
新藤兼人の監督デビュー作『愛妻物語』(1951年)にちなんだ題名で、夫の職業も同じだが、中身やタッチは全く違う。本作はツッコミ強烈な“夫婦漫才”だと言っておこう。テンポの良い台詞回しで観客をぐいぐい引っ張ってゆくパワーがあり、そのパワーが夫と妻それぞれ人物像の輪郭をくっきりと描き出している。
(宮田 彩未)
公式サイト:http://kigeki-aisai.jp/
配給:キュー・テック バンダイナムコアーツ
(C)2020「喜劇 愛妻物語」製作委員会