原題 | Little Joe |
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制作年・国 | 2019年 オーストリア・イギリス・ドイツ合作 |
上映時間 | 1時間45分 |
監督 | ジェシカ・ハウスナー |
出演 | エミリー・ビーチャム、ベン・ウィショー、ケリー・フォックス、キット・コナー |
公開日、上映劇場 | 2020年7月17日(金) 〜シネ・リーブル梅田、MOVIX八尾、MOVIX堺、ユナイテッド・シネマ枚方、アップリンク京都、109シネマズHAT神戸、塚口サンサン劇場ほか、神戸元町映画館にて近日公開 |
受賞歴 | 第72回カンヌ国際映画祭主演女優賞(エミリー・ビーチャム) |
~ものいわぬ植物による、ひそやかな恐怖を美しく映像化~
アリスは、バイオ企業で働く研究者。人を幸せにする香りを放つ花を咲かせる植物の開発に成功。一人息子の名前をとって「リトル・ジョー」と命名する。
シングルマザーとして働きながら、息子を育ててきたアリス。食事は、デリバリーが多くても、ジョーは文句も言わず、母と息子、二人だけのささやかな幸せな生活を営んできた。アリスは、会社の規定を破って、ひそかに一鉢だけ持ち帰り、息子にプレゼントする。花の成長につれ、平和な家庭に少しずつ変化が訪れる。大量生産に向け栽培が進められていた研究所の温室でも、同僚から、飼い犬の様子がおかしくなったと、リトル・ジョーに疑惑の目が向けられる。一体、何が起きているのか…。
研究者として、熱意と自負をかけて育ててきたアリスにとって、リトル・ジョーは、もう一人の息子のような存在。そのリトル・ジョーに疑いを抱かざるをえなくなり、戸惑うアリスの複雑な思いをエミリー・ビーチャムが好演。新型コロナウイルスに日常生活が脅かされている今、映画の中の研究者たちが、マスクをしたり、手をアルコール消毒する姿に、親近感を覚える。
リトル・ジョーの花は、深紅で美しい。しかし、黙して、動かないはずの植物が、種の保存のために人間に働きかけ、操っているのではないかという疑いが、静かな恐怖をもたらす。尺八、和太鼓、琴などの和楽器の音色が、リトル・ジョーの妖しい魅力をひきたてる。
人を驚かせたり、これみよがしに怖がらせたりすることはないので、ホラー映画が苦手な方も安心して劇場で観ることができる。ものいわぬ美しい植物から忍び寄る、さりげないゆえに不気味な怖さが見事に映像化されており、ぜひスクリーンで浸ってほしい。
(伊藤 久美子)
公式サイト⇒http://littlejoe.jp/
配給:ツイン
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