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『ANNA/アナ』

 
       

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作品データ
原題 ANNA
制作年・国 2019年 フランス・アメリカ
上映時間 1時間59分
監督 [監督・脚本・製作] リュック・ベッソン   撮影:ティエリー・アルボガスト  音楽:エリック・セラ
出演 サッシャ・ルス、ルーク・エヴァンス、キリアン・マーフィ、ヘレン・ミレン 、アレクサンドル・ペトロフ
公開日、上映劇場 2020年6月5日(金)~TOHOシネマズ(梅田、なんば、二条、西宮OS)他 全国ロードショー

 

リュック・ベッソン監督 最新作!

『ニキータ』で魅せたスタイリッシュな銃撃戦の復活!

KGB女スパイ・アナの“自由”を賭けた非情で華麗なる闘い

 

旧ソ連の女スパイといえば、2年前に公開されたジェニファー・ローレンス主演の『レッド・スパロー』を思い出す。セクシーな容姿に頭脳明晰で瞬時の判断力を備えたKGB生え抜きのハニートラップだ。今回の主人公アナは、惨めな人生を変えようとKGBのスパイとなるが、情報を得るためには手段を選ばず、時にはアサシン(殺し屋)としてクールに標的を射落としていく。だが、CIAの策略に乗じ二重スパイとなっては裏の裏を掻く狡猾さで、地獄のようなスパイ稼業から這い上がろうとする。生きるか死ぬか、非情な国家や組織に利用されるだけでなく、人間として生きる道を自ら掴み取っていくアナ。本作は、そんな人間味あふれるスーパーウーマンの活躍を最後の最後まで予断を許さぬ展開で魅了する、スタイリッシュなハイテンション痛快アクションである。


ANNA-500-8.jpg1985年、アメリカVSソ連の冷戦時代、モスクワに潜んでいたアメリカCIAの諜報員9人が殺される。それから5年後、モスクワの市場でマトリョーシカを売っていたアナ(サッシャ・ルス)はフランス人にスカウトされて、パリでモデルとして働くようになる。あるロシア人の貿易商を紹介され親しくなるが、パリの最高級ホテル「ル・ムーリス」のスイートルームで、その男を躊躇なく射殺する。そう、アナはハニートラップとしてKGBから差し向けられたアサシンだったのだ。


ANNA-500-7.jpg3年遡ること1987年のモスクワ、アナは才能を活かせずDV彼氏のペーチャ(アレクサンドル・ペトロフ)と惨めな生活を余儀なくされていた。そんな中やっとの思いで入隊申請をネット送信した夜、ペーチャが強盗を働き警察とのカーチェイスの果てに命からがら帰宅すると、謎の男が待ち受けていた。このアレクセイ・チェンコフ(ルーク・エヴァンス)との出会いが運命の岐路となり、冷血なKGB部長のオルガ(ヘレン・ミレン)の下、ハニートラップとしてモスクワやパリなどで地獄のようなスパイ活動に身を投じることになる。


ときどき時系列が前後することがあるので、しっかり経緯を抑えながら観ることをお勧めしたい。


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主演のサッシャ・ルスはロシア出身で、高級ブランドのキャンペーンモデルとして活躍、リュック・ベッソン監督の『ヴァレリアン 千の惑星の救世主』で映画デビュー。そのスレンダーボディから繰り出されるアクションはスタイリッシュで華麗。中でもKGB本部の裏手にある元KGBの図書室だった場所を改装した実在のレストラン「GLAVPIVTORG(グラフピヴドルグ)」での銃撃戦は前半の大きな見どころとなる。『ニキータ』ではパリのリヨン駅構内のレストラン「トランブルー」が舞台となったが、狭い空間での銃撃戦は、リュック・ベッソン監督の得意技のひとつ。後半の山場となるKGB本部での死闘もまた想像を絶する迫力で魅了する。


ANNA-500-4.jpg敵対するCIA捜査官のレナード・ミラーを演じた個性派俳優のキリアン・マーフィが、今回は非情な世界でアナに心を寄せて意外にもウブな一面を見せてくれる。一見硬派な感じのKGBのチェンコフを演じたルーク・エヴァンスも同様に、厳格な任務遂行とアナへの好意が微妙な感情を生み出し、張り詰めた事態でも温もりを感じさせる。『ニキータ』『レオン』『フィフス・エレメント』『LUCY/ルーシー』など、スーパーヒロインが活躍する作品を数多く生み出してきたリュック・ベッソン監督。その大きな特徴は、前代未聞のアクションだけでなく、過激な映像を美しく捉える撮影(ティエリー・アルボガスト)と音楽(エリック・セラ)が基盤となって、ヒロインをより強く、より美しく、そしてより切ない情感で豊かに魅せているところだろう。


ANNA-500-3.jpg本作については、リュック・ベッソン監督の最新作で、しかもあの『コックと泥棒、その妻と愛人』『クイーン』『黄金のアデーレ』などのロシア貴族の血を引くヘレン・ミレンが「KGBなめんなよ!」と激怒する予告編を見てびっくり! さらにロシアの戦争エンタテイメント映画『T-34 レジェンド・オブ・ウォー』で戦車隊長を演じた新進気鋭の俳優、アレクサンドル・ペトロフが出演しているとあって、「これは必見!!!」―― 期待を裏切らない面白さで圧倒されること間違いなし!


(河田 真喜子)

公式サイト: https://anna-movie.com/

公式 Twitter:https://twitter.com/ANNA_movie_jp

[配給] キノフィルムズ/木下グループ

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