©SRAB FILMS LYLY FILMS RECTANGLE PRODUCTIONS
原題 | 原題:Les Misérables |
---|---|
制作年・国 | 2019年 フランス |
上映時間 | 1時間44分 |
監督 | 監督・脚本:ラジ・リ |
出演 | ダミアン・ボナール、アレクシス・マネンティ、ジェブリル・ゾンガ、ジャンヌ・バリバール |
公開日、上映劇場 | 2020年3月13日(金)~シネ・リーブル梅田、シネ・リーブル梅田、3月14日(土)~京都シネマ 他全国順次公開 |
受賞歴 | 第 72 回カンヌ国際映画祭 審査委員賞受賞 第 92 回アカデミー賞®国際長編映画賞 ノミネート 第 77 回ゴールデン・グローブ賞 外国語映画賞ノミネート |
怒りが爆発する驚愕のラスト30分!
現代版“レ・ミゼラブル(悲劇)”が問い掛けるものとは?
ヴィクトル・ユゴーの傑作小説「レ・ミゼラブル」は、幾度となくミュージカルや映画にもなっている世界的に有名な作品である。本作はその舞台となったパリ郊外の街モンフェルメイユの今を描きながら、格差社会が生む悲しみ、怒り、憎しみ、そして暴力という普遍的テーマを、スタイリッシュな映像や息もつかせぬ緊迫した演出で一気呵成に見せ込んでいる。『シティ・オブ・ゴッド』や『ディーパンの闘い』『パラサイト 半地下の家族』に続く衝撃作である。昨年の第72回カンヌ国際映画祭では、『パラサイト~』がパルムドールに輝き、『レ・ミゼラブル』は国際審査委員賞を受賞している。だが、社会へ向けた眼差しは心を突き刺す針のように鋭い。
今までドキュメンタリー作品を手掛けてきたラジ・リ監督は、モンフェルメイユ出身で今でも在住しているだけあって、街の社会的構造を知り尽くしている。低所得者層向けの団地街は、アフリカ系やアジア系にロマなど多種多様な民族・宗教・言語が入り乱れている。パリ近郊といえば、“イル・ド・フランス”という風光明媚なロマンあふれるイメージだが、こうした知られざる街の現状を見るにつけ、ヴィクトル・ユゴーが生きた19世紀中頃に戻ってしまった感がある。「自由・平等・博愛」を掲げるフランスの社会問題を浮き彫りにすると同時に、最後には「人間の尊厳」にこそ救いがあるように感じさせる辺りは、監督の希望が込められているのかも知れない。
地方の警察からパリ市警の犯罪防止班に配属されたステファン(ダミアン・ボナール)は、勤務初日にクリス(アレクシス・マネンティ)とグワダ(ジェブリル・ゾンガ)と組んでモンフェルメイユの巡回に出る。そこで日頃から警察沙汰を起こしていたイッサという少年がサーカス団からライオンの子供を盗んだという事件に出くわす。サーカス団を率いるロマたちが激怒し、日頃から対立するアフリカ系の自警団のようなグループや、ムスリム系の宗教集団に麻薬密売人まで入り乱れての大騒ぎになる。
次々と現れる街の支配者や、警察官の規律を無視したクリスとグワダの強引な手法に、ステファンは驚くばかり。乱闘の最中にグワダが放った銃弾で大怪我をしたイッサを巡っても、2人は助ける以前に自己保身のための隠蔽工作に必死で走り回る有り様。そんな中ステファンは、警官としての本分を主張し、イッサを励ましては何とか救おうとする。そして、数日後、いつものようにパトロールに出た3人は、今まで経験したことのない波動を感じ、街全体が大きな波に飲み込まれる様な激動を目にする……。
衝撃のラスト30分に大注目!守ってくれるはずの警察にも、団地の自治グループにも、宗教にも、麻薬密売人にも、ロマにも、フランス社会の底辺で生きるあらゆる派閥に抑圧され無視されてきた子供たち。その怒りがついに爆発! 絶体絶命に追い込まれた瞬間に、あなたは一体何を感じるだろうか――どうすれば救えるのか、何が必要なのか、と必死で考える自分に出会えるはず。
(河田 真喜子)
公式サイト⇒ http://lesmiserables-movie.com
後援:在日フランス大使館、アンスティチュ・フランセ日本
配給:東北新社 STAR CHANNEL MOVIES
©SRAB FILMS LYLY FILMS RECTANGLE PRODUCTIONS