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『ジョン・F・ドノヴァンの死と生』

 
       

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©THE DEATH AND LIFE OF JOHN F. DONOVAN INC., UK DONOVAN LTD.

       
作品データ
原題 The Death and Life of John F. Donovan
制作年・国 2018年 カナダ・イギリス
上映時間 2時間3分
監督 製作・脚本・監督・編集:グザヴィエ・ドラン(『Mommy マミー』『たかが世界の終わり』) 共同脚本:ジェイコブ・ティアニー 撮影:アンドレ・ターピン 音楽:ガブリエル・ヤーレ
出演 キット・ハリントン、ナタリー・ポートマン、ジェイコブ・トレンブレイ、スーザン・サランドン、キャシー・ベイツ、タンディ・ニュートン、ベン・シュネッツァー、マイケル・ガンボン他
公開日、上映劇場 2020年3月13日(金)~新宿ピカデリー、大阪ステーションシティシネマ、なんばパークスシネマ、あべのアポロシネマ、MOVIX京都、神戸国際松竹ほか 全国順次ロードショー

 

~年齢や境遇を超え、結びあえた孤独と孤独~

 

グザヴィエ・ドランはとても気になる監督の一人だ。彼の「絵」は、彼の美的感性によってこだわり抜かれ、とても美しい。そうして、観終わった後、胸の奥がコトリと音を立てて動く。観る前と観た後で、何かしら周囲の空気の密度が変わったように感じる。これは、彼の初めての英語作品。


JFD640 (2).jpg2006年のニューヨーク。若手人気俳優ジョン・F・ドノヴァン(キット・ハリントン)の死が伝えられる。彼の死因は不明なのだが、ここから時代が異なる二つのパートが入れ代わり立ち代わり現れて、その謎に近づいてゆく。一つは、亡くなる前のドノヴァンの仕事や生活ぶりと、当時ドノヴァンに心酔していた11歳の少年ルパート(ジェイコブ・トレンブレイ)の日常。もう一つのパートは2016年のプラハに飛び、青年俳優となったルパート(ベン・シュネッツァー)が自著の出版を控えてジャーナリスト(タンディ・ニュートン)からインタビューを受けるという場面設定だ。お話が進むうち、意外なことが明かされる。ドノヴァンと少年のルパートは密かに文通をしていたということ。


JFD640 (9).jpgこの映画は、ドラン監督が8歳の頃、映画『タイタニック』に出ていたレオナルド・ディカプリオに夢中になり、彼に手紙を出したという経験がもとになっているという。こういうのって、多くの人が成長過程で味わうものかもしれない。まるで世界が違う憧れの人への切ない思い、けしてすれ違うこともないとわかっているけれど、心のどこかで密かに願っている奇跡。そして、この物語では、相まみえることはなくとも、ある奇跡が起きるのだ。


JFD640 (3).jpg夢想と現実の間で引き裂かれる心。ドノヴァンと少年ルパートは相似形のようだ。その現実の世界には、二人にとって非常に大切で、だが大きな力を及ぼす「母親」の存在がある。ドラン監督が何度でも描きたいテーマなのだなと思うのだが、名優スーザン・サランドンとナタリー・ポートマンが、ある意味複雑なキャラクターを持つ母親を好演している。ドノヴァンに、キツイけれど正直な言葉を放つマネージャー役のキャシー・ベイツや、意外なちょい役で登場するマイケル・ガンボンなど、なんて豪華なキャストだろうか。ドノヴァンを演じたキット・ハリントンの美形ぶり(この人、笑わないほうがより素敵!)や、少年ルパート役のジェイコブ・トレンブレイは『ルーム』(2015年、レニー・エイブラハムソン監督、ブリー・ラーソン共演)で脚光を浴びたあの少年だということも付け加えておこう。


JFD640 (7).jpgさらに、音楽が凄くイイ!シンガーソングライターのアデルの曲をはじめ、シーンにぴたりとはまり、観るものの感情と登場人物の感情を結び合わせてくれるのは、音楽を担当した名匠ガブリエル・ヤレドの手腕だ。ある面では悲話といえるが、希望の色をにじませた余韻に浸った。


(宮田 彩未)

公式サイト⇒ http://www.phantom-film.com/donovan/

©THE DEATH AND LIFE OF JOHN F. DONOVAN INC., UK DONOVAN LTD.

配給:ファントム・フィルム、松竹

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