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『T-34 レジェンド・オブ・ウォー ダイナミック完全版』

 
       

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作品データ
原題 T-34
制作年・国 2018年 ロシア
上映時間 2時間19分
監督 監督・脚本:アレクセイ・シドロフ 製作:ニキータ・ミハルコフ、ルベン・ディシュディシャン、アントン・ズラトポリスキイほか
出演 アレクサンドル・ペトロフ、イリーナ・ストラシェンバウム、ヴィンツェンツ・キーファー、ヴィクトル・ドブロヌラヴォフ、アントン・ボグダノフほか
公開日、上映劇場 2020年2月14日(金)~なんばパークスシネマ、シネ・リーブル梅田、京都みなみ会館、塚口サンサン劇場他、進軍開始!

 

最強のドイツ軍をかく乱した旧式〈T-34〉戦車の威力を見よ!

一発で2両戦車を破壊する驚異的な手腕に驚嘆!

 

あの凄惨を極めた独ソ戦(第二次世界大戦のドイツvsソビエト連邦)を、度肝を抜く痛快さで活写した映画『T-34 レジェンド・オブ・ウォー』。士官学校卒の若い少尉が〈T-34〉というソ連の戦車を駆使して、圧倒的軍事力のナチスドイツに頭脳戦で対抗するという、「こんなエンターテイメント性モリモリのロシア映画、観たことない!」と皆に自慢したくなるような映画である。昨年10月に全国公開され、戦争映画ファンならずともその想定外の面白さに熱狂!嬉しいことに、26分も延長した『T-34 レジェンド・オブ・ウォー ダイナミック完全版』がさらなる進撃で圧倒することになる。


T-34-500-7.jpg何度観ても面白い本作の見所は、大きく分けて3つの山場にある。まず、1941年11月、モスクワまで35㎞に迫ったドイツ軍との戦闘シーン。この映画の主人公・イヴシュキン少尉(アレクサンドル・ペトロフ)が登場するファーストシーンでは、補給トラックでドイツ戦車の砲撃を見事にかわして、初っ端からハラハラさせる。しかも士官学校卒のエリートだが戦場は初めてという戦車士官の奇抜な戦略で、士気の落ちていた小隊を蘇らせ、重戦車を主体としたドイツ戦隊相手に見事な戦いぶりを見せる。夕陽をバックにしたドイツの鬼将校イエガー(ヴィンツェンツ・キーファー)との死闘も圧巻!ここまでの34分で映画が終わっても文句はない程の見応えである。


T-34-500-1.jpgさらに、1943年8月、ドイツ国内の捕虜収容所から脱走するシーン。捕虜となったイヴシュキンは何度も脱走しては捕まって拷問を受けていたが、決して身分を明かそうとしなかった。そこへ、宿敵イエガーが、ドイツ軍の戦車隊訓練のためにソ連の戦車兵を探しに来たところ、イヴシュキンを発見。身分のバレたイヴシュキンは、壊れた戦車〈T-34〉をあてがわれ、ドイツ軍の戦車隊訓練時の標的となるよう強制される。捕虜の中からかつての部下だった操縦兵や砲台兵など3人を選び、〈T-34〉の改修と対戦訓練に備える。そこで通訳として働かされていたアーニャ(イリーナ・ストラシェンバウム)の協力を得て、ある策略を練って脱走を企てる。イヴシュキンの天才的能力を発揮した奇想天外な方法で快挙を遂げる!もうここまでで映画2本分の満足度である。


T-34-500-3.jpgそして、チェコを目指した逃走劇が3つ目の山場となる。T-34の優れた機動性(速度・小回り・悪路対応)がフル活用して森の中を逃走するシーンを俯瞰で捉えたシーンがまた見事。追っ手との位置関係が一目瞭然。そして、チェコへの国境を目前にして、美しく小さな村でイエガーとの決戦の火ぶたが切って落とされる……。


T-34-500-5.jpg26分延長された完全版では、その後の彼らの様子を映したオマケ映像がエンディングロールで流される。それがまた泣けるのだ。3本分の満足度で圧倒する稀有な戦争アクション映画!発射された砲弾の軌道を追うスローモーションには思わず歓声をあげてしまう!〈完全版〉公開というこの機会に、ロシアの半端ない戦争映画をお楽しみ下さい。
 



T-34-pos.jpg人類史上最も凄惨な戦争となった第二次世界大戦。日本人の死亡者数が250万~300万人と言われる中、独ソ戦だけで、ドイツが1000万人近い死亡者に対し、ソ連は3000万人に近い死亡者(行方不明も含め)がいたとされる。ドイツの3倍である!? 如何に凄惨を極めたか!故に、この戦争を描いた映画はどうしても重苦しく悲劇的になってしまう。だが、本作のアレクセイ・シドロフ監督は、多くの犠牲者を輩出たものの勝利した戦争なので、それまでとは違うアプローチで表現してもいいのでは、と考えて脚本を書いたらしい。そこには、ソ連軍の指揮系統の乱れや武器技術の気弱性もしっかり描きつつ、前線で戦う兵士一人一人の勇気と忍耐と功績に脚光を当てることによって、名もなき勇者たちへの敬意が込められている。


『太陽に灼かれて』『戦場のナージャ』『遥かなる勝利へ』などの監督、ニキータ・ニハルコフがプロデューサーを務めており、人間味に溢れるキャラクター性や、ダイナミックな映像美は勿論、こだわりの武器・美術など、すべてにおいて風格ある作品となっている。


河田 真喜子)


公式サイト⇒ http://t-34.jp 

公式Twitter⇒ https://twitter.com/T34movie

© Mars Media Entertainment, Amedia, Russia One, Trite Studio 2018

配給:ツイン

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