制作年・国 | 2019年 日本 |
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上映時間 | 2時間5分 |
原作 | 山本博文『「忠臣蔵」の決算書』 (新潮新書刊) |
監督 | 中村義洋 |
出演 | 堤真一、岡村隆史、濱田岳、横山裕、妻夫木聡、荒川良々、西村まさ彦、木村祐一、橋本良亮(A.B.C-Z)、寺脇康文、桂文珍、竹内結子、西川きよし、石原さとみ、阿部サダヲ ほか |
公開日、上映劇場 | 2019年11月22日(金)~大阪ステーションシティシネマ、なんばパークスシネマ、MOVIX京都、神戸国際松竹、他全国ロードショー |
受賞歴 | chushingura-movie.jp/ |
~ソロバン勘定で見た新時代の「忠臣蔵」~
「忠臣蔵」は長く続いた伝統ある日本時代劇の代名詞。これまでどれだけの本数が作られてきたか、数え切れない。一説によると、映画テレビ含めて300を超えるそうだ。映画ファンにも記憶に残っているのがNHK大河ドラマ「赤穂浪士」だ。大河ドラマ2作目として1964年、東京オリンピックの年に放送されて印象が強い。大石内蔵助に長谷川一夫、りくに山田五十鈴ら豪華な顔ぶれも気合が入っていたように思う。とりわけ長谷川一夫の「おのおの方」という独特のセリフ回しがはやりもした。
ストーリーはよく知られている、いわゆる“赤穂事件”である。主君・浅野内匠頭が殿中で刃傷事件を起こしたのは元禄14年3月14日。この時、幕府は「天下の大法」である“喧嘩両成敗”とせず内匠頭は即日切腹、相手の吉良上野介はおとがめなしで幕引きとした。そのため、赤穂藩士たちはお上にたてつき“喧嘩両成敗”を実現するため、艱難辛苦を乗り越えて「武士の一分」を立てた。いかにも日本人好みの“忠君愛国”美談となった。

万事が金勘定優先の現代にぴったりのお話。社長のご乱行で会社がぶっつぶれた会社の再興物語、と見れば、現代社会にも十分、通用する話だろう。こちらは300年前、江戸城・松の廊下、短気な赤穂藩主・浅野内匠頭(阿部サダヲ)はかねてから賄賂まみれだった吉良上野介に斬りかかる。内匠頭は周りが心配していた通りのことを引き起こしたのだ。大変なのは筆頭家老・大石内蔵助(堤真一)。嘆く暇もなく“浅野家再興”を願い出て、幼なじみの勘定方・矢頭長助(岡村隆史)の力を借りて残ったお金をかき集める。

“お家再興”はあえなく却下され、内蔵助はようやく討ち入りを決意したものの、予算残高は減る一方。加えて、江戸の前線基地として購入した屋敷も火事で全焼し、藩士たちは食べるにも困るありさま。忠君愛国の美談もひと皮むけばこんなものか。「先立つものがなければ人間、何も出来ない」のは今に始まったことではない。
大河「赤穂浪士」の大石内蔵助と違い、今度の内蔵助の決めゼリフは「みんな使こてしもたんか」だから面白い。この映画、かけそば1杯18文という当時の相場から成り立っていて、浪士たちの日々の生活費や食費、江戸までの旅費、討ち入りの武器や笛、ハシゴまで「必要」になるから減るのは当然。未亡人も怒り心頭で、ついに「予算内で」というお達しが出る。いよいよ、内蔵助はどう出る?

(安永 五郎)
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