原題 | Now More Than Ever: The History of Chicago |
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制作年・国 | 2016年 アメリカ |
上映時間 | 1時間54分 |
監督 | ピーター・パーディーニ |
出演 | ロバート・ラム、ジミー・パンコウ、リー・ロックネイン、ダニー・セラフィン、ウォルト・パラセイダー、テリー・キャス、ピーター・セテラ、デイヴィッド・フォスター、ジェイソン・シェフ、クライヴ・デイヴィス |
公開日、上映劇場 | 2019年11月22日(金)~テアトル梅田、12月7日(土)~神戸アートビレッジセンター、12月中旬~京都シネマ にて公開。 |
~ロック半世紀 シカゴの浮き沈み~
今年は音楽映画が流行りだ。今年のナンバーワンヒットになりそうなクイーン「ボヘミアン・ラプソディ」のほか、エルトン・ジョンをモチーフにした劇映画「ロケット・マン」、レディ・ガガ主演の「アリー スター誕生」に、ビートルズ・ファン涙ものの「イエスタデイ」が公開中。そんなロック・ブームのとどめになりそうなのが『ザ・ヒストリー・オブ・シカゴ ナウ・モア・ザン・エヴァー』だ。
70年代に“ブラスロック”としてスーパーな人気を誇ったロックバンド、シカゴの実に50年に及ぶ波乱の歴史に密着したドキュメンタリー。そこに、苦闘のアメリカンロック史が見える。

ロック・イベントの集大成と目される「ウッドストック」が開かれたのは1970年。遅咲きとされるシカゴは、67年に「シカゴ・トランジット・オーソリティ」から「シカゴ」へと名前を変更。翌69年に2枚組「シカゴの軌跡」でデビュー。一躍、トップグループに躍り出る。71年の初来日公演は大盛況、以降3年連続来日という快挙を成し遂げ、日本語で「ロウダウン」も録音している。

ロックは歴史が長けりゃいい、というものではないが、その息の長さは目を見張る。ビートルズは最後のアルバム「レット・イット・ビー」までわずか8年で伝説に上り詰めたし、ストーンズもけっこう長い。映画には対照的に早死にした歌手ジャニス・ジョプリンやギタリストのジミ・ヘンドリックスの映像も流れたりする。
あのころ、流行りでもあったベトナム戦争や黒人の選挙運動など過激な歌詞で政治を歌い始めたこともあった。年間250回ツアーに出ていた時期、メンバーのひとりがビートルズのジョン・レノンが「ただのロックバンドでいい」と言ってると聞き「シカゴもただのジャズロックバンドでいい」と立ち位置を確認したような発言もしている。映画では「彼らの感覚はズバ抜けて鋭い訳じゃない」とも見抜いてもいる。

85年にリード・ボーカルのピーター・セテラが脱退するが、それでもシカゴは止まらない。こんな例えも聞かれる。「ビートルズから誰かが抜けていたらどうなっていた?」か。それほどシカゴはタフで稀有なグループだった、ということか。
栄光の陰に潜む波瀾万丈の50年。クリントン大統領(当時)は「イーグルス、ビーチ・ボーイズとシカゴ。彼らの存在は意義深い」と名指しで称えている。反体制を謳ってきた、ロックを米大統領がほめるのは聞いたことがないが、少なくともシカゴは体制にも認められたロックバンド、という証明か。喜ぶべきかそれとも?ではあるけれど。
(安永 五郎)
公式サイト⇒ http://wowowent.jp/chicago/
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