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『真実』

 
       

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作品データ
原題 La Verite  
制作年・国 2019年 日本・フランス合作
上映時間 1時間48分
監督 監督・脚本:是枝裕和
出演 カトリーヌ・ドヌーヴ、ジュリエット・ビノシュ、イーサン・ホーク、リュディヴィーヌ・サニエ、クレモンティーヌ・グルニエ、マノン・クラヴェル、アラン・リボル、クリスチャン・クラエ、ロジェ・ヴァン・オール他
公開日、上映劇場 2019年10月11日(金)~TOHOシネマズ日比谷、TOHOシネマズ梅田、TOHOシネマズなんば、なんばパークスシネマ、あべのアポロシネマ、TOHOシネマズ二条、MOVIX京都、T・ジョイ京都、OSシネマズミント神戸、OSシネマズ神戸ハーバーランド、109シネマズHAT神戸ほか全国ロードショー

 

名優たちが織りなす、

ある家族のビターでスウィートな、すったもんだ。

 

『万引き家族』でカンヌ国際映画祭パルムドールに輝いた是枝監督。早くも新作が登場した。カトリーヌ・ドヌーヴ、ジュリエット・ビノシュ、イーサン・ホークと、世界的な人気スターを迎えた家族ドラマだ。『万引き家族』は、日本社会の底辺を彷徨う少々変わった家族のお話だったが、こちらはパリを舞台にした少々変わったセレブな一家のお話。どちらも、いわゆる一般庶民の日常からははみ出ているが、随所で「なんとなくわかるなあ」と、登場人物たちとの距離感を縮ませる…それが是枝流なのかもしれない。


shinjitu-500-1.jpgフランスの国民的大女優ファビエンヌ(カトリーヌ・ドヌーヴ)は、自伝本『真実』の出版を間近に控えると共に、『母の記憶に』という映画の撮影中だった。そんな彼女のもとに、ニューヨークで脚本家の仕事をしている娘のリュミール(ジュリエット・ビノシュ)が、出版のお祝いのために帰ってきた。夫のハンク(イーサン・ホーク)と、7歳の娘シャルロット(クレモンティーヌ・グルニエ)も一緒だ。だが、リュミールは母に言いたいことがあった。出版前に原稿を送ってほしいと頼んであったのに、送ってこなかったこと。そして、ひと晩かけて『真実』を読み終えたリュミールは、母に食って掛かる。「この本のどこに“真実”があるのよ!」。すると、母は平然と答える。「事実なんて退屈だわ」。


家庭よりも女優業を優先させてきたファビエンヌと、そんな母に対して恨みやジェラシーが混じり合った気持ちを抱き続けてきたリュミール。母と娘の考え方や感性の違い、過去の出来事に絡む確執やうっぷんが、むくむくと頭をもたげ、もう亡くなっているので会話の中にしか登場しないが、サラという女性の存在が、二人にとって重要な意味を示し始める


shinjitu-500-2.jpg大女優らしいともいえる高慢さで他人を圧するファビエンヌだが、次第に垣間見えてくるものがある。彼女が密かに抱え持つコンプレックスや寂しさだ。それを、ファビエンヌが年老いた娘の役を演じる劇中劇という形で、“ねじれ”のように見せる手法は巧妙だ。圧倒的なドヌーヴの貫禄に目が吸い寄せられると共に、受けて立つビノシュの強さと繊細さにも惹きつけられる。イーサン・ホークが添え物的に見えてしまうほどだ。そして、子役の使い方に定評のある是枝監督だが、本作でも、シャルロットを、大人の世界を知り始めた、小生意気だけど愛くるしい小さなパリジェンヌに仕立て上げた。


shinjitu-500-3.jpgつくづく家族は難しいと思う。積年のそれぞれの思いやボタンの掛け違いは、そう簡単に霧散しないのだが、本作は「きれいに終わったな」という感じ。このように終わってもいいのだが、ちょっとした“つまづき石”を残してほしかったという気がする。エンディング・クレジットでは、「女王のように」豹柄のコートを着て歩くドヌーヴに注目!大阪のオバちゃんの豹柄ファッションとはかなり違う(ま、当たり前か!)。ちなみに日本語吹き替え版では、ドヌーヴの役を宮本信子、ビノシュの役を宮﨑あおいの声で楽しめる。


(宮田 彩未)

 公式サイト⇒ https://gaga.ne.jp/shinjitsu/

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