原題 | The Boy Who Harnessed the Wind |
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制作年・国 | 2018年 イギリス・マラウイ |
上映時間 | 1時間53分 |
監督 | 監督・脚本:キウェテル・イジョフォー |
出演 | マックスウェル・シンバ、キウェテル・イジョフォー、アイサ・マイガ、リリー・バンダ、レモハン・ツィパ |
公開日、上映劇場 | 2019年8月2日(金)~テアトル梅田、シネ・リーブル神戸、MOVIX京都 |
~14歳の少年の好奇心と果敢な行動力が村を救う…~
2001年、アフリカ大陸の南東部に位置する内陸国のマラウイでは、人口の8割以上が農業に従事。灌漑設備も普及しておらず、収穫量は干ばつや洪水に大きく左右される。電気の普及率はわずか2%と、世界でも最貧国といわれる国で、手作りの風力発電装置で自家発電に成功した少年の実話の映画化。
14歳の少年ウィリアムは、父に制服を買ってもらい、意気揚々と中学校に通い始める。しかし、長雨の次は大干ばつで、学費が払えなくなり、退学を余儀なくされる。それでも、図書館に入れてもらい、本を読んで、風力発電のことを知る。ラジオを直したり、機械好きのウィリアムは、廃品を集めてミニチュアの風車をつくる。風車で風の力を電気に変え、充電した電池でポンプを動かせば、乾いた畑に水を引くことができるはず。ウィリアムは、自分の思いつきを実行に移すため、両親や友達、村人達の力を借りようと、説得を始める…。
ウィリアムの家族のありようが丁寧に描かれる。家族思いの父は、干ばつの中、身を粉にして賢明に働くが、とうとう食事は一日に1食になる。朝食か夕食か、唯一の食事をいつにするか、家族で話し合うシーンは身につまされる。食べる物がなくなれば、私の腕を切ってでも食べさせると諭して、子ども達を安心させようとするウィリアムの母。
危機的な食糧不足の中、配給のトラックに群がる村人達。ウィリアムの父の留守中、暴徒化した村人に大切な穀物を奪われる悲劇。選挙運動で村を訪れた大統領に、村の窮状を訴え支援を求めた族長が、逆に側近から暴行を受けて瀕死の重傷を負う不条理。アフリカの農村が置かれた深刻な社会的状況もリアルに描かれる。
そんな過酷な中、学校の先生の優しさや友達に支えられ、諦めることなく、学び、挑戦を続けたウィリアムの信念の強さと、生き生きした表情、好奇心にあふれ、キラキラ輝く瞳が印象的だ。そして、ウィリアムを信じ、深い愛情で支えた両親の誇らしげな表情が心に残る。
(伊藤 久美子)
公式サイト⇒ https://eiga.com/movie/90071/
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