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『ダンスウィズミー』

 
       

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作品データ
制作年・国 2019年 日本
上映時間 103分
監督 ・脚本 矢口史靖
出演 三吉彩花、やしろ優、chay、三浦貴大、ムロツヨシ、宝田明他
公開日、上映劇場 2019年8月16日(金)~大阪ステーションシティシネマ、梅田ブルク7、なんばパークスシネマ、TOHOシネマズ二条、OSシネマズミント神戸他全国ロードショー
 
 

~歌って、踊って、捜索して!

自分の心の声を見つけるハッピーミュージカル!〜

 

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 リズム音に乗って繰り広げられる冒頭のショーは、70年代のレトロファッションに身を包んだバックダンサー隊の前で、宝田明扮する人気絶頂の催眠術師、マーチン上田が爽やかに名曲「トゥナイト」を歌う。この歌を聞いた瞬間に、とにかく懐かしくて、この懐メロリバイバル路線でいってくれるのかと嬉しい気持ちが渦巻いた。『ウォーターボーイズ』『ハッピーフライト』の矢口史靖監督が初めて手掛けるミュージカルは、パッとしない日々を送る会社員の静香が主人公。音楽が聞こえた途端にミュージカルスターのように軽やかなダンスや歌、アクションを次々と披露する静香を、オーディションで選ばれた三吉彩花が熱演。静香が行動を共にすることになる千絵を演じるやしろ優とのコンビもバッチリだ。矢口監督らしい笑いがたっぷり、こだわりもたっぷりのオリジナルストーリーによるハッピーミュージカルは、女性陣の活躍ぶりに胸が熱くなるはず!
 
 
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 一流商社に勤める静香(三吉彩花)は、休日に訪れた遊園地で、うさんくさい催眠術師に音楽が聞こえると体がミュージカルスターのように踊り出すという催眠術にかけられてしまう。会議をぶち壊し、憧れのエリート社員、村上(三浦貴大)とのデート中も大暴れ。街を歩いていてもあらゆる音に反応し、困り果てた静香は、催眠術を解いてもらうべく、遊園地を再訪するが、催眠術師は姿を消していた。そこにいたのは借金取りと、催眠術師のサクラの仕事をしていた千絵だった。千絵からその催眠術師はかつて一斉を風靡したマーチン上田であることを聞かされた静香は、千絵と共にマーチン上田の足取りを追うのだったが…。
 
 
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 シュレッターのゴミ達が、見事な紙吹雪となりオフィス内で舞い散る「Happy Valley」(オリジナルはオレンジペコ)のダンスシーンや、デート時夜景の中で踊るシーンは、大ヒットミュージカル『ラ・ラ・ランド』を彷彿とさせる高揚感に包まれる。かと思えば、静香と千絵が軽自動車でマーチン上田の営業先を追いかけて北上し、千絵が懇意になったイケメンの男に騙されてお金を盗まれるというくだりは、女性バディームービーの決定版『テルマ&ルイーズ』のようにも映る。静香が依頼した探偵、渡辺(ムロツヨシ)ともすれ違いながら、行く先々で歌やダンスによって窮地をしのいでいく2人。路上ライブやラップバトルも交えながら、いつの間にかどんどん北上するロードムービーともなっていくのだ。
 
 
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 長い旅の間に静香と千絵はお互いの過去や夢を語り合う。小さい頃から歌や踊りが上手だったのに、お遊戯会では主役に選ばれながらも本番に失敗したことがトラウマとなり、それらを封印してしまった静香と、怪しい仕事をしていたが実はダンスが大好きで、スタジオを開く準備をしている千絵。マーチン上田に翻弄された2人は大騒動のおかげで、改めて忘れ去っていた自分の心の声に耳を傾け、自分の力で新しい未来を選び取る。そんな2人の姿が眩しかった。胡散臭い催眠術師が最高のはまり役だった宝田明の存在感も見事だ。感動のラストの後に流れる「タイムマシンにおねがい」(オリジナルはサディスティック・ミカ・バンド)を懐かしく感じているうちに、エンドクレジットで「トゥナイト」が山下久美子の曲だったことを知り、私も忘れ去っていた記憶がうゎっと蘇ってきた。だから映画は楽しいんだなぁ。
(江口由美)
 
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(C) 2019「ダンスウィズミー」製作委員会

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