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『ホット・サマー・ナイツ』

 
       

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作品データ
原題 HOT SUMMER NIGHTS
制作年・国 2018年 アメリカ 
上映時間 115分
監督 ・脚本:イライジャ・バイナム
出演 ティモシー・シャラメ、マイカ・モンロー、アレックス・ロー、ウィリアム・フィクナー他
公開日、上映劇場 2019年8月16日(金)~シネ・リーブル梅田、なんばパークスシネマ、神戸国際松竹、MOVIX京都他全国ロードショー
 
 

~90年代カルチャーが彩る、ある夏の最高にぶっ飛んだ日々〜

 
 『君の名前で僕を呼んで』の大ヒットで、今や若手人気俳優の筆頭株となったティモシー・シャラメ。そんな彼のブレイク直前の姿をたっぷり見ることができるとなれば、食指が動こうかというものだ。アカデミー作品賞受賞の『ムーンライト』をはじめ、グレタ・ガーウィグ初監督作の『レディ・バード』など新しい才能を次々映画界に送り込んでいる気鋭の映画製作スタジオA24によるとびきりクールな夏物語。ティモシー・シャラメは言うまでもないが、彼を取り巻くこれからブレイク間違いなしの新しい才能たちにも注目したい。
 
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 舞台は1991年、湾岸戦争が始まり、フレディ・マーキュリーがエイズで亡くなった年で、アメリカにとっては激動の一年だったが、この年にマサチューセッツ州の小さな町で伝説になった青年がいた。ベトナム帰還兵の父が亡くなり、喪失感を癒すため、一夏をマサチューセッツの海辺町に住む叔母宅で過ごすことになったダニエルだ。地元民にも、夏の間リゾート地で過ごすセレブにも馴染めなかったダニエルは、偶然、町で札付きのワルと恐れられているハンター(アレックス・ロー)の窮地を救う。人殺しの噂もあるハンターだが、実は観光客相手に大麻を売りさばいている売人だった。なぜか意気投合し、二人でドライブインシアターに行ったり、より大きな取引をするようになり、冴えない青年だったダニエルもどんどん自信をつけ、二人でいれば無敵の日々が続くかのように思えたが…。
 
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 日本でも4月に公開された『ビューティフル・ボーイ』で、ティモシー・シャラメは麻薬中毒の主人公を演じていたので、また麻薬!?と思いたくなるが、本作はスライドショーのように、サラッと売りまくる様子を見せていくサクセスストーリー仕立てだ。むしろ青春物語ならではの恋愛描写でドキドキハラハラさせる。町で人気ナンバーワン、彼氏はいるものの、いつもお付きの友達と行動して案外ガードも固そうなマッケイラ(マイカ・モンロー)に恋したダニエル。だが、その後ハンターには仲違いしている妹がおり、妹に手を出したら殺すと冗談まじりで脅される。まさにこの妹こそ、マッケイラだった。
 
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 だが、恋の炎は一度付いたら簡単には消えない。まだSNSもスマホもないインターネット前夜の若者達のデートの数々や、お気に入りの曲を流してのドライブは誰にでもある甘酸っぱい青春の一ページだろう。兄、ハンターがドラッグに手を染めていることを許せないマッケイラに対し、ダニエルは言えない秘密が多すぎた。眩い夏の日々をあえて90年代のヒット曲を外した選曲で印象的かつ、どこか客観的に描写するのは、本作がデビュー作となるイライジャ・バイナム監督。青春ポートレートのような本作で、ティモシー・シャラメに引けを取らない、イギリス人俳優、アレックス・ローの硬派な存在感も光った。タイトルバックをはじめ、アナログ風の趣向が凝らされているのも楽しんで。
(江口由美)
 
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公式サイト⇒:http://hot-summer-nights.jp/
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