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『ウィーアーリトルゾンビーズ』

 
       

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作品データ
制作年・国 2019年 日本 
上映時間 120分
監督 ・脚本 長久充
出演 二宮慶太、水野哲志、奥村門土、中島セナ、池松壮亮他
公開日、上映劇場 2019年6月14日(金)~TOHOシネマズ梅田、TOHOシネマズなんば、TOHOシネマズ二条、OSシネマズ神戸ハーバーランド他全国ロードショー
受賞歴 第35回サンダンス映画祭審査員特別賞 第69回ベルリン国際映画祭スペシャル・メンション賞準グランプリ
 
 

~喪失感なんかクソ食らえ!音楽とゲームが錯綜するゾンビな僕らの冒険〜

 
一瞬にして懐かしさがよみがえるファミコンの音楽を筆頭に、オペラ、ジプシー音楽と、溢れんばかりの音楽が鳴り響く。刺激的な映像と、驚くような設定でのカットの数々を駆使しながら、ファイナルステージに至るまでクリアしていくゲームのように、場面展開も鮮やかな新感覚映画が誕生した。主人公は、火葬場で偶然出会った13歳のヒカリ、イシ、タケムラ、イクコ。「両親死んでるー」と顔を見合わせて叫ぶ4人のクールさが示すように、涙とは無縁、喪失感なんかクソ食らえ!と言わんばかりにバンドを結成する。ゾンビのような彼らの冒険が行き着く先は光か闇か。他にも楽しみどころが満載だ。
 
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両親がバス旅行中に事故死したヒカリ(二宮慶太)、親がガス爆発で焼死したイシ(水野哲志)、親が借金苦で自殺したタケムラ(奥村門土)、親が変質者に殺されたイクコ(中島セナ)の4人は親が死んでも、これっぽっちも泣けなかった。もはや感情がないゾンビのような彼らは、街を彷徨いながらゴミ捨て場にたどり着く。「LITTLE ZOMBIES」というバンド名をつけ、タケムラが持ってきたベースやガラクタで作ったドラムなどを駆使して、「なにもない〜〜〜」と歌っていると、その演奏を偶然見つけた望月(池松壮亮)が撮影し、その動画をアップロード。あっという間に拡散され、「LITTLE ZOMBIES」は一躍注目バンドとして音楽事務所からデビューを果たすのだが…。
 
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一躍時代の寵児となり、音楽映画になっていくのかと思いきや、そううまくいかないのが世の常。そのあたりも現在の芸能界をあっけらかんと皮肉り、ニヤリと笑わせる。物語が進むにつれ、4人の子どもたちのそれぞれの家庭でのエピソードが語られるが、個性が強く、時には問題行動を起こしていた親たちを佐々木蔵之介、工藤夕貴、村上淳、西田尚美、永瀬正敏、菊地凛子らがなんともいえない強度で演じ、曲者ぶりをじわりと滲ませる。親との微妙なすれ違いを見せながら、それでもやはり親といる生活が当然だった彼らの姿を見ると、今の姿がどこかカラ元気なのは一目瞭然だ。
 
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多彩な映像や音楽を駆使して、普通なら湿っぽくなりそうな、両親を亡くし、孤独な子どもたちの物語を実にカラフルに、そしてこれも人生の通るべきステージといわんばかりに、クールに描いている。涙よりもパワーを。LITTLE ZOMBIESの4人が現実を受け入れ、次のステージに進むまで、クリアすべきステージが次々と訪れるが、それを乗り越えた時、ようやく涙が流れるのかもしれない。見終わった後もファミコン音楽が頭の中でぐるぐる回り続ける、異色の青春音楽映画。こだわりのビジュアルの連続に、感性を刺激されること間違いない。
(江口由美)
 
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公式サイト⇒:https://littlezombies.jp/
(C) 2019“WE ARE LITTLE ZOMBIES”FILM PARTNERS

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