原題 | BEN IS BACK |
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制作年・国 | 2018年 アメリカ |
上映時間 | 1時間43分 |
監督 | ピーター・ヘッジズ |
出演 | ジュリア・ロバーツ、ルーカス・ヘッジズ、コートニー・B・ヴァンス、キャスリン・ニュートン他 |
公開日、上映劇場 | 2019年5月24日(金)~TOHOシネマズシャンテ、大阪ステーションシティシネマ、TOHOシネマズなんば、MOVIX京都、神戸国際松竹 ほか全国順次ロードショー |
アカデミー賞女優の貫禄に圧倒される!
アカンたれの息子に寄り添う母の鮮烈な愛
“母は強し”などといわれるが、全身全霊かけて息子を守ろうとする母親像がくっきり!息子は薬物依存症で治療施設に預けられているが、母以外の家族にとって、彼はどうしても厄介者であることは致し方ない。それを知りつつも、きっぱりと息子の側に立ち、彼の回復のために奔走する母の姿には胸を突かれる。
クリスマス・イヴの朝、ホリー(ジュリア・ロバーツ)が外から帰ってくると、家の前に思いがけない人物が待っていた。それは、長男のベン(ルーカス・ヘッジズ)である。クリスマス・イヴを家族のもとで過ごしたくて、薬物依存症の治療施設を抜け出してきたのだ。ホリーは驚きつつも、満面の笑顔で彼を迎え、かたく抱きしめる。だが、ベンの継父ニール(コートニー・B・ヴァンス)や、妹のアイヴィー(キャスリン・ニュートン)は、厄介者のベンがまた何かトラブルを起こすのではないかという危惧を抱く。そして、その予想はけっして間違っていなかった…。
日本でも著名人の薬物使用が報道されるが、つくづくその依存症の怖さについて思い知らされる。ベンは過去に、薬物が原因の過ちをいくつか犯し、それは人々の頭から離れない。真に立ち直り、他人の信頼を回復するのは、とても難しいことなのだ。それでも、母はベンを信じ、愛情をもって彼に接し、時には厳しい叱咤で彼の心と向き合う。どのような進化が見られるのかと思っていると、映画は後半にハラハラさせるような展開となり、そう簡単にハッピーエンドにはならないだろうな、という確信を観る者に植え付けていく。
タイトルにある『ベン・イズ・バック』の意味は、異なるシチュエーションである冒頭と結末のシーンの背後でうごめく。これは巧いやり方だと思う。この親子、今後も大変だろうなというような影の部分と、それを乗り越えてほしいという希望がもたらす光の部分が画面を覆うようなラストシーンだ。
監督のピーター・ヘッジズと、ベン役のルーカス・ヘッジズは、名前が示すように親子であり、ルーカスは父親が監督する映画には出たくなかったそうだ。出演を後押ししたのが、ジュリア・ロバーツだという。そりゃまあ、ハリウッドのスター女優に勧められ、共演できるとなるなら、これからさらに飛躍したい若手俳優がよっぽどの事情でもない限り、お断りするはずはなかろう。駆け出しの頃のマット・デイモン風の風貌で、地味な感じはするのだが、彼のステップアップを促す作品にはなりそうだ。
(宮田 彩未)
公式サイト⇒ https://benisback.jp/
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