原題 | 原題:Les Grands Esprits 英題:The Teacher |
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制作年・国 | 2017年 フランス |
上映時間 | 1時間47分 |
監督 | 監督・脚本:オリヴィエ・アヤシュ=ヴィダル |
出演 | ドゥニ・ポダリデス、レア・ドリュッケール |
公開日、上映劇場 | 2019年5月3日(金)~テアトル梅田、5月4日(土)~京都シネマ、5月24日(金)~シネ・リーブル神戸 他全国順次公開 |
~先生が変わる時、生徒も変わっていく…~
ドキュメンタリーのようにリアルに、フランスの教育格差問題を描いた物語。フランソワは、高名な作家を父とし、パリ有数の進学高校で教鞭に立つ国語教師。生徒にテストを返す口調も厳しい。パリ郊外との教育格差がパーティでの話題になり、ベテラン教師を派遣すべきだと唱えたところ、自身がパリ郊外の移民街にある中学で1年間教えることになる。
アフリカ、アラブ、アジア系の移民が多く、初日から、生徒の名前の読み方がわからず、失笑されるフランソワ。それでも、負けん気で、威厳を持って教壇に立つが、勉強嫌いの子ども達のおしゃべりは止まず、やたら怒鳴っても効き目がない。今までの教え方では太刀打ちできないことがわかってくる。
この映画のおもしろさは、フランソワが、教師としても人間としても完璧ではないこと。自信家で、学校でも、生徒相手にかんしゃくを起こすし、美人には弱い。最初は鼻持ちならない教師にみえる。でも、そんな彼が、生徒達の置かれた状況、家庭の事情がわかるにつれ、少しずつ自分のあり方、教え方を変えていく。長編小説などあまり読んだことのないような子ども達に、小説「レ・ミゼラブル」の魅力を説き、全編を読ませ、感想を言い合い、発表させる。ジャン・ヴァルジャンの生き方が、子ども達の心を刺激していくさまがいい。生徒達自身に考えさせ、語らせる授業は、フランソワとの間に、心の架け橋を築いていく。一番の問題児だった生徒とも、思わぬ交流が生まれていく。
ベルサイユ宮殿に遠足できる光景にみとれた。問題はまだまだ山積みで、意欲に富んだ若い教員も疲弊していることが描かれる。監督は2年かけて取材し、学校評議会や職員会議の光景も描いていく。この映画の生徒達を演じたのは、実際にこの中学校に通う生徒達で、生き生きした表情ときらきら輝く瞳が心に残った。
(伊藤 久美子)
公式サイト⇒ http://12months-miraizu.com/
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