原題 | Hunter Killer |
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制作年・国 | 2018年 イギリス |
上映時間 | 2時間02分 |
原作 | ジョージ・ウォーレス&ドン・キース「ハンターキラー 潜航せよ」(ハヤカワ文庫) |
監督 | ドノヴァン・マーシュ |
出演 | ジェラルド・バトラー、ゲイリー・オールドマン、コモン、リンダ・カーデリーニ、ミカエル・ニクヴィスト |
公開日、上映劇場 | 2019年4月12日(金)~TOHOシネマズ 日比谷、TOHOシネマズ(梅田、なんば、二条、西宮OS)、なんばパークスシネマ、T・ジョイ京都、OSシネマズミント神戸 ほか全国ロードショー |
~現実先取り、さながら時事ニュース~
最新の戦争映画は時事ニュースのような緊迫感があふれる。近く公開される「ハンターキラー 潜行せよ」(ドノヴァン・マーシュ監督)はさながら“先取りニュース”のようだ。ビビッドな世界情勢に裏打ちされ、事実とフィクションの境目すらさだかではない。それほど、現実がフィクションに近づいた、ということか。
近年、戦争映画は少なくなった。理由はほかでもない、現実以上にリアルな物語を作れないから、だろう。「宇宙人の巨大円盤が地球を襲う」といった荒唐無稽なSFと違い、日々変動する世界情勢の方が面白い、その事実を教えるのが「ハンターキラー」だ。
オールドファンには、少年時代から戦争映画が大きな魅力だった。第2次大戦中の有名な戦闘を大スケールで映画化した「史上最大の作戦」(62年)をはじめ、何度も映画化されたノルマンディー上陸作戦、戦車部隊の激突で手に汗握らせた「バルジ大作戦」(65年)、「ナバロンの要塞」(61年)などなど…。にっくき悪役ドイツに連合軍が勝利する映画に喝采を送ったものだ。
ところが現代は「世界の警察」をやめたアメリカの迷走もあり、映画でどちらが正義なのか、分からなくなっている。その点「ハンターキラー」は虚構の物語ながら現実に即して実に分かりやすい。
原作は、米原子力潜水艦の元艦長ジョージ・ウォーレスとジャーナリストでベストセラー作家でもあるドン・キースの共同執筆。米国とロシアの激突という大胆なテーマで、主役を務めるのは原子力潜水艦。リアリティーがあるのも当然だ。
ロシア・バレンツ海で米原潜タンパ・ベイが消息不明になる。統合参謀本部議長ドネガン大将(ゲイリー・オールドマン)の指示で国防総省フィスク少将(コモン)は、ジョー・グラス艦長(ジェラルド・バトラー)率いる攻撃型原潜ハンターキラーを捜索に向かわせる。
艦長は海軍兵学校も出ていない現場からのたたき上げ。なのに、ロシア国内でクーデターが勃発、ロシア大統領が誘拐される異常事態に。米軍はいち早く事態を察知するが、先に攻撃すれば世界中を敵に回す。そこで、たたき上げ男が原潜一隻と特殊部隊ネイビーシールズを率いて敵地に潜入、誘拐された大統領を奪還する。とんでもないお話なのだが、米ロ2大大国の一触即発の危機にたたき上げ男が立ち上がるあたり、戦争映画の型破りヒーローは健在だった。
アメリカは先頃、ロシアとの核拡散防止条約からの脱退を宣言し、1968年から続いた平和状態が終結。米ロ2大大国は冷戦時代に逆戻りした。そんな緊迫状態を先取りした海面下の原潜アクション、為政者は信頼出来ないが、アメリカ(ハリウッド)映画の思いは映画の中でまだ生きている。
(安永 五郎)
公式サイト⇒ https://gaga.ne.jp/hunterkiller/
© 2018 Hunter Killer Productions, Inc.