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『あの日のオルガン』

 
       

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(C)映画「あの日のオルガン」製作委員会

       
作品データ
制作年・国 2018年 日本
上映時間 1時間59分
原作 久保つぎこ「あの日のオルガン 疎開保育園物語」朝日新聞出版
監督 監督・脚本:平松恵美子
出演 戸田恵梨香、大原櫻子、佐久間由衣、三浦透子、堀田真由、福地桃子、白石糸、奥村佳恵、夏川結衣、田中直樹、橋爪功 他
公開日、上映劇場 2019年2月22日(金)~なんばパークスシネマ、MOVIX堺、神戸国際松竹、MOVIX京都ほか全国ロードショー

 

~戦時中の保母たちの奮闘ぶりをリアルに生き生きと映し出した快作~

 

1944年、第二次世界大戦末期、戦況がどんどん厳しくなり、小学生の学童疎開が進む一方、幼い子ども達を預かる戦時託児所は、都市で増加していた。東京の戸越保育所で、20代の若い保母達が、空襲から子ども達の命を守ろうと、国に先駆けて「疎開保育園」を思いつき、実行に移した実話の映画化。


anohinoorugan-500-1.jpg戦争があと何ヶ月、何年続くかわからない中、幼い子ども達50人余りを引き連れて、埼玉県蓮田市の荒れ寺で疎開保育園を始める。寝小便が続いたり、うまくいかないことばかりで、苦労の連続。保母の一人ひとりが悩みながら奮闘する姿が生き生きと描かれる。大原櫻子演じる新米保母は、失敗しては先輩に叱られてばかりだが、自分に正直で、まわりをあたたかい気持ちにさせる天然キャラが魅力的。彼女が奏でるオルガンの曲は、童謡「この道」をはじめ、時代を超えて私たちの胸を打つ。


anohinoorugan-500-4.jpg戦争のさなか、家族や親友が空襲で次々と亡くなり、死と向き合わされることの連続。子ども達や保母達の涙の向こうに、言葉にできないほどの寂しさや頑張りがみえて、心にしみる。泣き出した子どもを抱きしめ、泣くのを我慢しなくていいと保母が慰めたり、焚き火を前に悩みごとを相談したり、子ども達と落ち葉で遊んだり、印象に残る場面は数々あるが、家族を亡くした男の子と保母が川に向かって石を投げる場面は秀逸。川に投げ入れられる石の音が重なるにつれ、悲しみが降り積もっていくようで、ずしりと心に迫ってきた。


anohinoorugan-500-5.jpg戦時中の一人の女性の日常を丁寧に描いた映画『あの世界の片隅に』が、大ヒットしたように、保母という仕事をしながら、悲しみと向き合い、子ども達とともに懸命に生きた彼女達の涙と汗と、笑顔の輝きが伝わる本作、ぜひ多くの人に観てほしい。

(伊藤 久美子)

公式サイト⇒ https://www.anohi-organ.com/

 (C) 2018「あの日のオルガン」製作委員会

★3月2日(土)開催!『あの日のオルガン』公開記念舞台挨拶★

 

 

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