原題 | The Man Who Invented Christmas |
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制作年・国 | 2017年 アメリカ |
上映時間 | 1時間44分 |
監督 | バハラット・ナルルーリ |
出演 | ダン・スティーヴンス、クリストファー・プラマー、ジョナサン・プライス、モーフィッド・クラーク、ドナルド・サンプター |
公開日、上映劇場 | 2018年11月30日(金)~梅田ブルク7、なんばパークシシネマ、T・ジョイ京都、109シネマズHAT神戸ほか全国一斉ロードショー |
~人間ディケンズの苦悩に迫る~
クリスマスには、家族や友人が集まって贈り物を交換し、互いの幸せを祈る…、そんな慈愛に満ちたお祝いの習慣に、大きな影響を与えたのが、イギリスの文豪チャールズ・ディケンズの「クリスマス・キャロル」。ディケンズがこの小説を書き上げるまでの6週間をファンタジックに描く。
ディケンズは「オリヴァー・ツイスト」で一躍人気作家になったものの、その後ヒット作に恵まれず、1843年の執筆当時、31歳で4人の子どもを抱え、借金に追われ、精神的にも追い詰められていた。アイルランド人のメイドが子どもたちに聞かせていた話をヒントに書き始めたのが「クリスマス・キャロル」。スクルージという孤独で人間嫌いで守銭奴の老人が、過去、現在、未来と3人の幽霊と出会い、改心する物語。
ディケンズは、自分の執筆している小説のキャラクターたちと話をしながら、執筆を進めていたという逸話があり、映画はその様子をコミカルに再現する。クリストファー・プラマーがスクルージ役をユーモアと優しさを加えて造形し、物語の中の虚構と現実が交錯していくのがおもしろい。
借金を返済できず監獄に入れられた父のせいで、12歳の時に靴墨工場で働かされ辛い目にあったディケンズは、老いてなお浪費癖が治らない父にいら立ちを隠せない。スクルージと対話しながら、ディケンズも、自身のトラウマと向き合い、家族との関係を修復し、成長していく。他者に対して、優しさと寛容の気持ちを持ち続けることこそ、幸せへの近道だと教えてくれる。
吹替版は、子どもにもわかりやすいよう、楽しい仕上がりになっているが、映画好きの方には字幕版をお薦めしたい。
(伊藤 久美子)
公式サイト⇒ https://merrychristmas-movie.jp/
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