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『エリック・クラプトン-12小節の人生-』

 
       

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作品データ
原題 Eric Clapton: Life in 12 Bars
制作年・国 2017年 イギリス
上映時間 2時間15分
監督 リリー・フィニー・ザナック
出演 エリック・クラプトン、BB・キング、ジミ・ヘンドリックス、ジョージ・ハリソン、パティ・ボイド 他
公開日、上映劇場 2018年11月23日(金・祝)~大阪ステーションシティシネマ、TOHOシネマズなんば、TOHOシネマズ二条、TOHOシネマズ西宮OS、シネ・リーブル神戸 ほか全国ロードショー

 

名曲誕生に秘められた真実が、いま明らかになる!

エリック・クラプトンの音楽への愛と波乱万丈の人生を、
豪華ミュージシャンやエリック自身で綴る、
珠玉の感動ドキュメンタリー!!!

 

“3大ギターの神様”(エリック・クラプトン、ジェフ・ベック、ジミ・ヘンドリックス)の一人として世界的人気を誇るスーパースター、エリック・クラプトン。「いとしのレイラ」や「ティアーズ・イン・ヘブン」などの名曲が、こんな悲しい事情で生まれたとは!? そして、9歳の時に知った出生の秘密の衝撃と、実母の愛を得ようとして得られなかった少年期の絶望感がナイーブで内向的な性格を生み、その後の人生に影を落とすことになろうとは!? 


EC-500-1.jpgB・Bキング、ジョージ・ハリスン、ジミ・ヘンドリックス、ザ・ビートルズにローリング・ストーンズやボブ・ディランやアレサ・フランクリンなどが劇映画のワンシーンのように登場。さらに、貴重なプライベート映像や写真を多用し、ミュージシャンやスタッフ、恋人たちや家族、そして彼自身の語りでエリック・クラプトンの人生を綴る、愛と感動の音楽ドキュメンタリーである。


1960年代、ドラッグやアルコール、セックス依存症で身を持ち崩すミュージシャンは数多く、エリック・クラプトンもそのひとりだった。だが、富や名誉(人気)より独自の音楽を模索し続けた結果、ギターの技術だけでなく、ギターで心情を物語れるギタリストとして、今なお作詞・作曲・編曲・歌手としても多方面で活躍する文字通りのスーパースターとなったのである。


EC-500-3.jpgエリックは、超ハンサムだった20代前半、ギタリストとしてお互い認め合っていた2歳年上のジョージ・ハリスンと親交を深めていた。そして、1歳年上のジョージの妻パティ・ボイドへの恋慕を強く抱くようになる。「ジョージに悪いと思いつつ、彼女への気持ちを抑えきれなかった。彼女以外に考えられなかった」――。3人ともまだ25歳にもなっていない血気盛んなお年頃だ。ビートルズのメンバーであるジョージも女性関係が絶えず、苦悩するパティへの同情が愛情に変わったかどうかは分からないが、手紙や電話で「駆け落ちしよう!」とラブアタックするが叶わず。


そして、失恋の痛手を基にフロリダで生み出した名曲「いとしのレイラ」を完成させる。ペルシャの恋物語をパティへの想いに重ねた名曲は、今なおCMなどで情熱を呼び起こす使われ方をしている。意気揚々とイギリスに戻り、パティにこの曲を捧げたにも関わらず、パティの愛を得ることはできなかった。しかし、2年後、パティは離婚してエリックの元へやって来る。だが、時すでに遅し……その頃、祖父や親友の死の痛手も相まって、薬物とアルコール依存症で音楽生命も危ぶまれるほど身も心も壊れてしまっていたのだ。なんというタイミングの悪さ!?


EC-500-2.jpgパティと結婚後もエリックの女性関係は絶えず、イタリア人モデルとの間に息子コナーが生まれる。40歳過ぎて出来た初めての息子。愛されることばかりを願っていたエリックに、愛情を注ぐ家族ができたのだ。パティとも離婚して依存症治療に専念。新たな家族との幸せを得たかに思われた矢先、またしても地獄の底に突き落とされる。エリックの幼少期にそっくりなブロンドの髪に大きな瞳が愛くるしいコナー。よりによって、こんな悲惨な最期を迎えることになろうとは……なんという悲運!?


誰しも、「エリックがこの悲しみに耐えられるはずがない」と再び依存症になるのではと危惧したが、「これからの人生、コナーを想いながら生きていこう」と、エリックは悲しみを1曲の歌に込めた。「ティアーズ・オブ・ヘブン」である。この曲は音楽賞総なめの世界的大ヒットとなった。そして、73歳の現在、可愛い娘たちに囲まれた平穏で幸せな家庭がある。あれほど渇望した愛情あふれる家族を、50歳近くになってからの再スタートで築き上げることができたのだ。


誰のせいでもない、自らどん底に堕ち、自らの力で這い上がってきたエリック。逆境が彼の才能を開花させたかも知れないが、どん底にも突き落としてきた。9歳の時に出生の秘密を知り絶望した時と同じように、いつも音楽に救われてきたのだ。「いろんな過ちを犯したが、最高の人生だったのでは?」と、壮絶な人生を乗り越えてきたエリックだからこそ、哀愁と力強さが滲む彼のギターが物語る世界観に救われるような気がするのだろう。


(河田 真喜子)

公式サイト⇒ http://ericclaptonmovie.jp/

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