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『ボヘミアン・ラプソディ』

 
       

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作品データ
原題 BOHEMIAN RHAPSODY
制作年・国 2018年 アメリカ
上映時間 2時間15分
監督 【監督】:ブライアン・シンガー 【音楽プロデューサー】:ブライアン・メイ、ロジャー・テイラー
出演 ラミ・マレック、ルーシー・ボイントン、グウィリム・リー、ベン・ハーディ、ジョー・マッゼロ、エイダン・ギレン、アレン・リーチ、トム・ホランダー、マイク・マイヤーズ、アーロン・マカスカー他
公開日、上映劇場 2018年11月9日(金)~TOHOシネマズ日比谷、TOHOシネマズ梅田、大阪ステーションシティシネマ、梅田ブルク7、TOHOシネマズなんば、なんばパークスシネマ、あべのアポロシネマ、TOHOシネマズ二条、MOVIX京都、T・ジョイ京都、OSシネマズミント神戸、OSシネマズ神戸ハーバーランド、109シネマズHAT神戸ほか全国ロードショー

 

クイーンの“帝王”フレディ・マーキュリーの人生に迫る感動作

 

音楽に興味のある人はもちろん、そうでない人も、この映画のラスト21分間には胸をぐいぐい揺さぶられるだろう。イギリスからはビートルズ、ローリング・ストーンズ、イエスほか人気と実力ある多くのバンドが生まれてきたが、クイーンも間違いなくその一つ。そして、クイーンのリード・ヴォーカルを務め、1991年にエイズのため45歳で亡くなったフレディ・マーキュリーの圧倒的な歌唱力は、今もなお燦然と輝く伝説そのものである。本作で彼自身のその歌声をほとんどそのまま使用するという制作側の決断は的を射ている。歌の上手い人は現代でもいっぱいいるだろうが、フレディの声は唯一無二のものであるから。


BR-500-4.jpg映画は、72000人もの観衆を集め、アフリカの飢餓救済のために開催された1985年のチャリティーコンサート「ライヴ・エイド」のステージに、フレディ(ラミ・マレック)が向かう場面で幕を開ける。それから、時は遡り、まだバンドに属さず、「毎夜毎夜遊び歩くな!」と父親に叱られている若い頃のフレディの日常へと移る。自信だけは満々だが、誰にもその才能を知られておらず、どこかチャラい若者だったフレディは、ヴォーカルが脱退したバンドに自分を売り込む。それが、後のクイーンとなるのだ。


BR-500-3.jpg前歯が通常より4本も多いため、出っ歯の印象を与える容姿にコンプレックスを持ちつつも、自分の歌は誰にも負けないという気持ちと、成功への野心、既存のものにとらわれず、新しいことを開拓していこうという進取の姿勢が、クイーンというバンドを引っ張っていく。世界的な成功を収め、無名の頃から彼を愛し支えてきた恋人メアリー(ルーシー・ボイントン)との結婚も果たした。だが、芸能界にはよく見られる、成功がもたらす奢り、バンド内外との衝突を、彼も免れることはできなかった…。


BR-500-1.jpgクイーンのギタリストであるブライアン・メイを演じるグウィリム・リー、ドラマーのロジャー・テイラー役ベン・ハーディはそれぞれ実物にとても似ているように思う。フレディはというと、長髪の若い頃はどっちかといえばミック・ジャガーっぽいのだが、後のトレードマークともいえる短髪にひげ、タンクトップ姿の、特に「ライヴ・エイド」のシーンでは、ラミ・マレックにフレディ・マーキュリーが乗り移ったかのよう。


BR-500-2.jpgブライアン・メイとロジャー・テイラーのご本人二人に音楽総指揮を依頼したため、クイーンとフレディが歩んできた音楽道が細やかに伝わってくる。とりわけ、タイトルにもなっている「ボヘミアン・ラプソディ」のレコーディング再現シーンは実に興味深い。また、メアリーとの関係性の変化、猫好きだった彼の私生活、フレディのソロ活動によるバンドとしての失速、恋人に男性を選ぶようになったフレディの中に居座る孤独の影などもじっくり追ってゆき、非常に見応えのある人間ドラマに仕上がった。


(宮田 彩未

公式サイト⇒ http://www.foxmovies-jp.com/bohemianrhapsody/

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