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『チューリップ・フィーバー 肖像画に秘めた恋』

 
       

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作品データ
原題 Tulip Fever  1時間45分 R15+
制作年・国 2017 年 アメリカ・イギリス
上映時間 1時間45分 R15+
原作 デボラ・モガー(『プライドと偏見』『マリー・ゴールド・ホテルで会いましょう』)
監督 【監督】ジャスティン・チャドウィック(『ブーリン家の姉妹』『マンデラ 自由への長い道「』)  【脚本】:デボラ・モガー、トム・ストッパード(『ローゼンクランツとギルデンシュターン』『アンナ・カレーニナ』)
出演 アリシア・ヴィキャンデル(『リリーのすべて』『光をくれた人』)、デイン・デハーン(『アメージング・スパイダーマン2』『ヴァレリアン 千の惑星の救世主』)、ジュディ・デンチ(『Queen Victoria 至上の恋』『あなたを抱きしめるまで』)、クリストフ・ヴァルツ(『イングロリアス・バスターズ』『ジャンゴ 繋がれざる者』)、ジャック・オコンネル(『ベルファスト71』『不屈の人 アンブロークン』)
公開日、上映劇場 2018年10月6日(土)~梅田ブルク7、T・ジョイ京都、シネ・リーブル神戸、他全国ロードショー

 

フェルメールの世界に入り込んだような、
チューリップ・バブルに沸くオランダで咲いた“愛の花”

 

オランダといえばチューリップ。4月~5月のオランダは、満開のチューリップが夢見心地にしてくれる、それはそれは天国のような所だ。だが、広大な農地で収穫されているのは花よりは球根。そう、オランダは今でも世界一のチューリップ球根の輸出国である。その歴史は古く、大航海時代の17世紀初頭。スペインからの壮絶な独立戦争後のオランダは新大陸への航路を制覇し、あらゆる新産物の取引で隆盛を誇っていた。そんな中、人々がこぞって投資したのが「絵画」と「チューリップの球根」だった。特に、誰でも参加できる球根の先物取引は、希少な球根だと邸宅1軒買えるほどの価値があり、一攫千金を狙った人々がこぞって熱狂していた。この物語は、そんな時代のアムステルダムを舞台にしたラブストーリーである。


churip-500-1.jpg主人公のソフィア(アリシア・ヴィキャンデル)は、修道院で育てられた貧しい娘で、他の子供たちの将来のためにと親子ほど歳の離れた豪商コルネリス(クリストフ・ヴァルツ)のもとに嫁がされる。かつて出産時に妻子を亡くしていたコルネリスは跡取りを欲しがり、若いソフィアに期待を賭けていた。ようやく安定した裕福な暮らしを得たソフィアにとって、優しく接してくれる夫はありがたい存在ではあったが、励めども一向に妊娠する気配がない。


churip-500-2.jpg当時流行っていた絵画ブームにのって、コルネリスは肖像画を描かせようと若い画家ヤン(デイン・デハーン)を家に招く。初めてソフィアを見た瞬間、ヤンは恋に落ちる。熱い眼差しで見つめられ、初めて恋心に目覚めるソフィア。二人はコルネリスの目を盗み逢瀬を重ねていくが、時を同じくして女中のマリア(ホリデイ・グレインジャー)も漁売りのウィレム(ジャック・オコンネル)と恋仲になり、若い二組のカップルの恋模様はとんでもない方向へと交錯していく。そして、ヤンもウィレムも愛する人のために一攫千金を狙った球根の取引に手を出して運命を狂わせていく……。


churip-500-3.jpgアリシア・ヴィキャンデルにクリストフ・ヴァルツ、そして修道院長役のジュディ・デンチとアカデミー賞受賞者をはじめ、名脇役のトム・ホランダーやホリデイ・グレインジャー、骨太の主役作が続くジャック・オコンネル、さらに、『ヴェレリアン 千の惑星の救世主』でデイン・デハーンと共演したカーラ・デルヴィーニュと豪華キャストを揃え、原作者のデボラ・モガーがシェイクスピア劇や演劇界で有名なトム・ストッパードと共同で脚本を担当している。もうこれだけで、“必見ベクトル”が反応するというもの。


churip-500-4.jpgソフィアがヤンからの手紙を窓辺で読むシーンや、鮮やかなブルーのドレスで肖像画のモデルにおさまるシーン、そして女中のマリアと何やら画策しているシーンなど、さらに小さな窓から差し込む柔らかな日差しや、ろうそくの明かりに揺らめく寝室のシーンなど、どれをとってもフェルメールの世界に入り込んだようだ。当時の絵画を見つめながらこの物語を思いついたという原作者の思いが細部まで再現されて、実に贅沢なタイムトリップが楽しめる。


息苦しいほど恋焦がれ、初めて感じる愛の歓びに命を懸ける若者たち――財力や社会的地位ではなく、結び合うべくして出会う若者たちの情熱に、時代を超越して心震わせてみたくなる、そんな映画である。


(河田 真喜子)

公式サイト⇒ http://tulip-movie.com/

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