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『ブレス しあわせの呼吸』

 
       

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作品データ
原題 BREATHE
制作年・国 2017年 イギリス 
上映時間 1時間58分
監督 アンディ・サーキス
出演 アンドリュー・ガーフィールド、クレア・フォイ、トム・ホランダー、ヒュー・ボネヴィル、スティーヴン・マンガン他
公開日、上映劇場 2018年9月7日(金)~シネ・リーブル梅田、なんばパークスシネマ、シネ・リーブル神戸、MOVIX京都他全国ロードショー
 

~生きることを諦めない!不可能を可能にする夫婦の愛と友情の物語~

 
絵に描いたような美男美女の二人が、運命的な出会いを果たし、結婚し、子どもを授かって…。夢見心地のラブストーリーは、昨日まで元気だった夫が倒れ、突然色合いを変える。ここから人間らしく「生きる」ために試行錯誤する夫婦の物語が始まるのだ。『ブリジット・ジョーンズの日記』シリーズなどのプロデューサー、ジョナサン・カヴェンディッシュの両親の実話を元に、1950年代、ポリオにかかり全身マヒとなった夫ロビンと妻ダイアナの生き様を映し出す。キーワードは「諦めない」。限界を感じても、自分だけでなく、自分と同じ境遇の人たちにも共有できる様々な発見をし、周りの友人たちにも支えられ、最後まで前向きに生きた二人の人生は、力強く、愛に溢れている。
 
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赴任地のケニアで、首から下がマヒしてしまったロビン(アンドリュー・ガーフィールド)は、専門病棟に入れられ、余命宣告される。幼い息子ジョナサンを抱えたダイアナは、「殺して欲しい」と弱音を吐くロビンを元気付け、医者の猛反対を無視し、ロビンを退院させて自宅介護を行う決意をする。人工呼吸器がトラブルを起こせば、死が待ち受けるという状況の中、親戚や友人の励ましも得て、ロビンに笑顔が戻ってきたのだが…。
 
 
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重度障害者は病院で最期を迎えるのが当たり前の時代に、リスクを承知で、自分の生き方は自分で決め、不可能を可能にしていく二人。生死に関わるハプニングも頻発するが、だからと言って、自分の行動を制限したりはしない。家族と一緒に暮らすだけではなく、旅に出たり(スペインではジプシーと一緒に盛り上がる!)、パーティーをしたり、人生をしっかりと楽しんでいるのだ。そんなロビン一家が周りのサポートする人たちも巻き込んで、大きな家族のように繋がっていく。彼らをサポートする双子の兄にトム・ホランダー、ロビンが自由に移動できるよう特製の車椅子開発を行う大学教授にヒュー・ボネヴィルと、イギリスの名脇役を配し、重くなりがちな物語にイギリス映画らしいユーモアを効かせている。
 
 
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年が経つにつれ、車椅子も改良を加え、同じ専門病棟に閉じ込められていた患者仲間が退院するのにも貢献したロビン夫妻。重度障害者であっても人間らしく生きることができる社会づくりの一助となる活動も行なっていく。クライマックスとなる、国際会議の場でのロビンの演説は、障害を持つ人たちの心の声を訴え、映画史に残る名演説だった。ほとんど車椅子かベッドで、まさに顔の表情だけの難しい演技に挑戦したアンドリュー・ガーフィールド。顔いっぱいに笑ったり、声を絞り出して気持ちを伝えようとする演技は、もらい泣きしそうなぐらい情感がこもっていた。
 
 
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そして、私が尊敬の眼差しで眺めていたのが、子育てをしながら、夫の介護にひたむきに取り組み、長年に渡って夫を支える強い精神力を備えたダイアナだ。イギリスの新鋭クレア・フォイが毅然として演じ、見ていて気持ちがいい。結婚前はお嬢様風だったダイアナが、どんどんたくましくなる姿が眩しかった。50年代から80年代まで、時代の移り変わりの描き方もファッションや、呼吸器、車椅子などのディテールまで実に細やかに描かれている。「重度障害者も社会の一員に」という父ロビンの思いは、全てを間近で見てきた息子、ジョナサンとアンディ・サーキス監督が作ったこの映画で、後世に受け継がれていくことだろう。
(江口由美)
 
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公式サイト⇒:http://breath-movie.jp/
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