原題 | Onneli ja Anneli |
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制作年・国 | 2014年 フィンランド |
上映時間 | 1時間20分 |
原作 | マリヤッタ・クレンニエミ著「オンネリとアンネリのおうち」 (訳者:渡部翠 出版社:福音館書店) |
監督 | サーラ・カンテル |
出演 | アーヴァ・メリカント、リリャ・レフト、エイヤ・アフヴォ、ヤッコ・サアリルアマ、ヨハンナ・アフ・シュルテン、エリナ・クニヒティラ、キティ・コッコネン |
公開日、上映劇場 | 2018年6月16日(土)~シネ・リーブル梅田、7月14日(土)~シネ・リーブル神戸 ほか全国順次公開 |
~キュートな二人の少女が巻き起こす小さな物語~
北欧の児童文学といえば、「ムーミン」、「ロッタちゃん」、「長くつ下のピッピ」、「名探偵カッレくん」シリーズと、心に残る名作ばかり。本作は、フィンランドで長く愛されてきた、マリヤッタ・クレンニエミによる1960年代の児童文学「オンネリとアンネリ」シリーズの映画化。7歳の少女オンネリとアンネリの夏休みに起こった不思議な物語。
オンネリは9人兄弟のまん中。両親は子どもたちの世話で忙しく、オンネリがいてもいなくても気づかないほど。アンネリは、離婚した両親の家を行ったり来たり。仲良しの二人は、「正直者にあげます」と書かれた大きな封筒を拾う。警察に届けると、中には大金が入っている。二人は、そのお金で、バラの木夫人というおばあさんから、水色のステキなお家を買って、住みはじめる…。
近所に住んでいるのは、夫を亡くして以来心を閉ざし、いつもしかめ面で黒尽くめの服装をした未亡人と、やたら陽気でおしゃべりのおばさん姉妹。絵を描くのが好きな警察官、商売下手だけど祖母思いのアイスクリーム屋の青年と、個性的な大人たちの中で、おませでおちゃめな二人が好奇心のまま大胆に行動していく姿が愛くるしい。大人たちが、子どもといえども、一人の人格として対等に話をし、子どもの話を丁寧に聞く姿が心に残る。
二人のおうちは、内装もゴージャスで、赤や青のきれいなカーテンに、デザインの凝ったソファやベッドが並び、まるでお人形のお家のよう。黒髪のオンネリと金髪のアンネリが、レースやリボンを使った、カラフルでお揃いの洋服を着ている姿は可愛らしく、手袋、帽子、ペンダントといった小物もオシャレ心をくすぐる。淡い光に照らされた部屋の中はもちろん、緑の美しい庭など、色彩感覚がすばらしい。
おばさん姉妹や、バラの木夫人が魔法を使ったり、不思議なことが幾つも起こるが、映画はとりたてて説明をするわけではない。警察官もせかせかせず、のんびりしていて、泥棒に入られたりハプニングもあるが、最後はハッピーエンド。ユーモラスで温かく、ゆったりした人生観に包まれていて、居心地がよい。美しいものに感動すること、言葉にして伝えること、他人に優しくすること…、忙しい日常の中で、つい忘れがちな、心豊かに生きるための大切なことを思い起こさせてくれる。
探偵気取りで二人の後を追いかけ、秘密を探ろうとするオンネリの弟の姿も微笑ましい。二人の少女のキュートな笑顔にいやされてほしい。
(伊藤 久美子)
公式サイト→http://www.onnelianneli.com/
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