制作年・国 | 2017年 日本 |
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上映時間 | 1時間42分 |
監督 | 中山節夫 |
出演 | 渡辺佑太朗、舟津大地、川籠石駿平、山田慎覇、柴田杏花、佐々木萌詠、芋生悠、山田杏奈、鹿毛喜季、田中奈月、林遣都、宇梶剛士、宮崎美子 |
公開日、上映劇場 | 2018年4月21日(土)~シネ・ヌーヴォにて公開 |
迷い、ぶつかり、悩み、気負う姿がまぶしく、すがすがしい快作
福岡県八女市在住の高校教師の実践記録をもとに、構想から10年かけて映画化。世代を問わず、誰もが、それぞれに人生の夢や目標に向かう道の途上にあることを思い出させてくれる快作。
甲子園行きを有望視されていた八女北高校。エラーをきっかけに、県大会予選一回戦でまさかの逆転負け。そんな野球部に、演劇部から、ボクシングの演劇の上演に当たり、助っ人としての出演依頼がくる。部員たちは、誰もが寸暇を惜しんで野球の練習に励んでいて、誰も出たがらない。監督は、敗戦したエースのジュンと、キャッチャーのリョータ、エラーをしたファーストのカズマに白羽の矢を立てる。渋々演劇の稽古に行く3人は、まるでやる気がなく、そんな態度に、役を奪われて不満を抱いていた演劇部員たちは反発。コンクールまで2か月、高校生達の熱い夏が始まる…。
実際に野球をやったことがある俳優を抜擢し、若い彼らのまっすぐな思いがスクリーンにあふれる。夢に向けて、まじめで懸命であるほど、まわりが見えなくなり、空回りして、寡黙になるジュン。そんなジュンをあたたかく支えるリョータ。仲間思いで、自分に素直で正直なリョータがいい。青春とは葛藤だ。仲間とぶつかったり、自分の世界にひきこもったり、迷いながら、段々とまわりが見えてくる…。そんな彼らの試行錯誤、成長ぶりがリアルに描かれ、思わず見入ってしまう。甲子園という夢の向こうに何があるのか…。道はどこまでも続いている…。悔しさをバネに勇気を奮い起こし、努力を重ねる姿がまぶしい。
若い彼らを見守る大人として、演劇部の教師に宮崎美子、野球部の監督に宇梶剛士が出演し、ドラマにさらなる深みと軽妙さを与える。「野球だけの人間になるな」という監督の言葉が心に残る。実家の農業を手伝いながら、脚本を書き、稽古を指導する演劇部OBに林遣都。『バッテリー』(2007年)でピッチャーを演じた林が、本作では、3人を厳しく鍛え、あたたかく見守る重要な役どころを好演。
九州出身のユニットGood Comingの主題歌「ユビノサキヘ」もいい。八女茶、電照菊といった、八女市の自然あふれる風景も楽しんでほしい。
(伊藤 久美子)
公式サイト⇒ http://yakyubuin-vs-engekibuin.com
(C)2017映画「野球部員、演劇の舞台に立つ!」製作配給委員会/京映アーツ/コチ・プラン・ピクチャーズ