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『ダンガル きっと、つよくなる』

 
       

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作品データ
原題 Dangal 
制作年・国 2016年 インド 
上映時間 2時間20分
監督 監督:ニテーシュ・ティワーリー  【脚本】ピユシュ・グプタ、ニテーシュ・ティワーリー  【製作者】アーミル・カーン
出演 アーミル・カーン(『きっと、うまくいく』『チェイス!』『PK』)、サークシー・タンワル、ファーティマ―・サナー・シャイク、サニャー・マルホートラ
公開日、上映劇場 2018年4月6日(金)~大阪ステーションシティシネマ、なんばパークスシネマ、TOHOシネマズ二条、MOVIX京都、シネ・リーブル神戸、TOHOシネマズ西宮OS、他全国ロードショー

 

女の子でもチャンスを与えれば、可能性は無限に広がる!
アーミル・カーン主演 “きっと、泣けてくる”ハイパー・ムービーの登場!

 

♪ダンガル、ダンガル~♪と力強い音楽に鼓舞されるように感動の嵐に巻き込まれていく、『ダンガル きっと、つよくなる』。43歳で大学生を演じて日本でも大ヒットした『きっと、うまくいく』(2009)や、純心なエイリアンが多宗教社会の矛盾をついた『PK ピーケイ』(2014)など、アーミル・カーン主演作にハズレ無し! 今回も、「ダンガル(レスリング)で金メダルを獲る!」という自らが果たせなかった夢を娘に託す熱血パパを、27kgも増量して熱演。笑って、驚いて、感動する、実話ベースの痛快感動作である。


dangal-500-5.jpgかつてインドのレスリング界で全国チャンピオンにまで上り詰めたマハヴィル(アーミル・カーン)は、生活苦のため世界制覇の夢を諦めて引退してしまった。果たせなかった夢を息子に託そうとするが、生まれる子供は娘ばかり。周囲も息子が授かるよう様々なアドバイスをくれるが、どれも怪しいものばかり。結局4人の娘に恵まれるも、夢は諦めざるをえなかった。ところが、長女と次女が近所の男の子をボコボコにしてしまった事件をキッカケに、娘たちの可能性に懸ける決心をする。


dangal-500-1.jpgそれからというもの、娘たちの意志などお構いなし、周囲に笑われようが反対されようが、妻の心配をよそに、鬼パパとなって特訓に次ぐ特訓を始める。娘たちの抵抗虚しく、年頃になっても短パンにTシャツ、おまけに頭刈りあげというあり得ない恰好で、レスリングひと筋に育てていく。さらに、男の子相手に試合を重ね、パワーと試合感覚を身に付けさせる。世間の批難など吹き飛ばすかのように、娘たちは目覚ましい快進撃で世間を驚かす。こうして、長女のギータが先にインドのナショナルチームに合格し、鬼パパの元から離れていく。すると、新コーチにそれまでのレスリングを否定され、また、急に人並みの自由と楽しみを得ていき、……。


dangal-500-2.jpg娘たちが、厳しい特訓に耐え兼ねて「こんな父親はいらない!」と、14歳で見知らぬ男の元へ嫁いでいく友人の前で愚痴るシーンがある。だが、その友人に「私はそんな父親が欲しい!」と言われてしまう。「女の子は、幼い頃から家事手伝いをさせられ、ろくに教育の機会も与えられず、14~15歳(若すぎる適齢期!?)になると親が決めた相手と結婚させられるのが普通。それを、娘の可能性を伸ばそうと、チャンスを与え愛情を注いでくれる父親がいて、とても羨ましい」と言うのだ。女の子でも才能と努力とチャンスがあれば、どんな壁でも超越できる!父親が娘たちに期待する真意こそ、本作のテーマなのだ。

 
dangal-500-4.jpg子供時代と成長した姉妹を演じた4人の女優たちは、長期のレスリング訓練を受けて、試合シーンもすべて実演。アーミル・カーン自身、体重を70㎏→97㎏→70㎏と増減させるという徹底した役作りに挑戦。それに呼応するように、レスリング未経験の彼女たちが特訓の成果を見事にスクリーンで発揮している。そのスピード感と迫力に手に汗握り、鬼パパの深い愛情に心揺さぶられる。あの輝石のような瞳で観る者を幸せにするアーミル・カーンに、またしても心を持っていかれてしまった。


dangal-500-3.jpgオリンピックや世界選手権などで大活躍した実在のマハヴィル一家のギータとハビータは、インド社会で女性が活躍できる可能性を示していった。その影響力は計り知れないものがあるだろう。また、日本の吉田沙保里選手や伊調馨選手とも対戦しているという。日本では女子レスリング界のパワハラ問題が話題になっているが、本作でも父親の元を離れた長女が教えに背くような行動をとり父親を落胆させるシーンがある。だが父親は見捨てることはない。娘が自由に羽ばたけるよう陰ながら支援することはあっても、チャンスを阻むことなど決してしない。それは、父親としてというより、指導者としての責務だからである。


(河田 真喜子)

公式サイト⇒ http://gaga.ne.jp/dangal/

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