原題 | Eye on Juliet |
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制作年・国 | 2017年 カナダ |
上映時間 | 1時間31分 |
監督 | 監督・脚本:キム・グエン |
出演 | ジョー・コール、リナ・エル=アラビ、フェイサル・ジグラット、ムハンマド・サヒー、ハーティム・スィディキー、マンスール・バドリ |
公開日、上映劇場 | 2018年4月21日(土)~テアトル梅田、シネ・リーブル神戸 ほか全国順次公開 |
~テクノロジーは“愛”を伝えられるか…美女とロボット~
今や誰もが簡単に携帯で思いを伝えられる時代。ラブレターなんて言葉もとんと聞かれなくなった。でも、本当に大切なことは、直接会って伝えたい。本作は、テクノロジーが発展した現代ならではの、ちょっと風変わりでピュアなラブ・ストーリー。
ゴードンは、アメリカのデトロイトで働く技術者。遥か地球の裏側、北アフリカ砂漠地帯のパイプラインの監視ロボットを遠隔操作するのが仕事。意中の恋人にふられ、傷心の彼は、砂漠で一人暗い表情で座り込んでいる美しいアユーシャをモニターの中に見つけ、心ひかれる。アユーシャが、両親から裕福な壮年男性との結婚を強要され、恋人と国外脱出を図ろうとしているのを知り、アユーシャに手を貸し、窮地を救おうと懸命になっていく…。
国籍も文化も言語も違う二人が、機械を介して出会う。ゴードンはロボットの目(レンズ)とモニターを介してアユーシャを見ることができるが、アユーシャにはロボットしか見えない。はじめは怖がっていたアユーシャも、何かと助けてくれる不思議なロボットに、少しずつ心を許し、二人の距離が縮まっていく…。
この映画でおもしろいのは、ゴードンが操作するロボット。約40センチ四方のクモ型で、ゴードンが発する英語を自動翻訳してアラビア語でしゃべることができ、石油泥棒を見つけたら威嚇のために発砲もできる。ドローンのように飛ぶなんて器用なことはできず、6本の足でカシャカシャと音を立てながらひたすら歩き回り、バッテリーがなくなれば止まってしまう。まっすぐで不器用なゴードンの想いを体現しているようで、目が離せない。
ゴードンが、砂漠で迷った盲目の老人を見つけ、ロボットで道案内するシーンもいい。テクノロジーは人を貧しくすると話す老人に、ゴードンは、どうしたら運命の女性だとわかるのか尋ねる。どんなに科学が発達しても、人間は肉体を持った動物だと知らされる。
いまどきの若者にしてはめずらしいほど、まじめで純粋で繊細なゴードンはロボットにジュリエットと名づけるようなロマンチスト。パイプラインを監視することよりも大事なことがあると上司に訴える姿が心を打つ。人生で大切なことは何か、ゴードンに教えられる。果たしてゴードンは運命の人と出会えるのだろうか。最後まで見守ってほしい。
(伊藤 久美子)
公式サイト⇒ http://kimikyori.ayapro.ne.jp/
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